〜支援機器講習会〜

〜学びサポート通信「支援機器講習会1」〜

杉並区のある施設の親の会より依頼を受け、支援機器の講習会を行いました。

私が特別支援学校の教員をしていた頃に比べ、急速にITが進み、障がいのある方がテクノロジーを使って自発的に活動できたり、情報にアクセスできたりするようになりました。

ITは障がいのある人のためのもの、という持論からすると、願ってもない催しです。

学びサポート学習支援員2名による講習会には、8組の親子が集まってくれました。説明に続き、支援機器を体験してもらいました。

我が子のために奮闘するお母さんたちが、機器の使い方を知り、できるものから使い始めれば、子どもとの日常が豊かになるでしょう。

やってもらう、のではなく自らの意思でやりたいことをする。

これが実現できたら、本人の生活の質や生きる喜びが高まり、さらに自分の世界を広げていくことができます。

それは近くにいるご家族にとってもこの上ない喜びとなり、さらに工夫していく楽しさも出てくるかもしれません。

家庭で兄弟と一緒に使えば、コミュニケーションも増え、プラスの良い影響がたくさんありそうです。

スイッチについては、その方の動く部位にあったものを工夫します。顎だったり、指先だったり、頭だったり。反応しやすい位置に固定すればあとは自分から行動するのみです。

スイッチにつなぐのは、

・家電(スイッチでオン・オフ コントロール、スマート家電のお陰でスマートホンを使えば簡単に)

i+padタッチャースイッチコントロールでiPadの好きな音楽を選ぶ。

など。ワクワクします。

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また、必ずしも機器を使わずに身近なものを使ってできることもたくさんあります。

ヘアバンドを親指と人差し指に通し、その間にペンを入れると指が離れてもペンが落ちないなどの工夫は簡単で、他にも応用できそうです。

やったことの結果が見えない場合は、振動でフィードバックさせるなどの工夫をすれば、ハンドサッカーやボーリング、ボッチャなどの運動でも活用できそうです。

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外では馴染みの店などを幾つか作っておけば、一人で買い物を楽しめるかもしれません。

VOCA(ヴォカ)(Voice Output Communication Aid)という音声を出力するコミュニケーション機器がありますが、このうちビッグマックなど声を録音してスイッチで再生できる機械を使えば、買い物の際にレジで伝言などに使えます。

ちなみにVOCAには、トーキングエイドなど発話機能がある機器もあります。

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講演の中で、まずは支援する側が、

・どこに困難があるのかご本人と対話しながら、気づくこと。

・そして困難さをはがしとる環境作りが鍵であること。

・教える、ではなく興味関心を支えるというスタンス。

・本人が自分を表現し、使命に気づくこと。

が第一。

支援機器とはそのためのものだという講師による話を通して、支援する側される側が互いに学び合い、気づき合う関係でいることが大事だと思いました。

続く・・。

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視線入力装置と映像楽器+SHJアーティスト=ジャズセッション!

学びサポート通信「東京都Aさんのお宅で音楽の授業」〜

スマイリングホスピタルジャパンは、小児病棟や施設を訪問してアート活動を行っていますが、医療的ケアを受けながら在宅生活を送る重度の障害がある方に、さまざまな支援機器を使って学びの時間を提供する事業も行っています。

やりとりを通してコミュニケーションを深めながら一緒に学習しています。

子どもに学びたいことを教えてもらい、そのためにどんな支援が必要かを互いに探り、よりよい環境を設定します。

筋ジストロフィで右手の人差し指のみでパソコンを駆使するAさんは、プログラミングの授業と音楽の授業を受けています。

パソコンで調べものをするのが趣味というAさん、パソコンでの作曲にも挑戦しているほど活動的な方です。

今日は音楽の日。

ボランティア学習支援員とSHJアーティストのシンガーソングライターによる授業です。

SHJアーティスト・シンガーソングライターの石橋和子さん

映像楽器と視線入力装置を使って音楽セッションを練習しました。

指先の動きではどうしても音楽に合わせたテンポとずれてしまうため、より意にかなう速度で入力できるように、視線で反応する装置を使います。

持ち込んだ支援機器は、

🌀視線入力装置Tobii Eye Tracker 4C

🌀液晶モニター

🌀パソッテル(モニター固定脚)

そして映像楽器は、

🌀「サウノスヴァルカ」

「サウノスヴァルカ」は、簡単な操作で和音やアルペジオを自由に弾くことができる映像楽器。

画面に、音にシンクロして抽象的なグラフィックが表示され、音と映像を同時に即興演奏することができる楽器です。「サウノスヴァルカ”Sounos Valka」

「サウノスヴァルカ」の一画面

まずはパソッテルで、液晶モニターをAさんの側臥状態に合わせた角度と距離に設定し、視線が反応するかチェック。

左上に見えるのが、パソッテルで液晶モニターを角度約90度に固定したところ。側臥のAさんが見やすい角度に微調整できます。

「サウノスヴァルカ」をいろいろ試してもらった後、コードの出力と音の長さ調整の練習をします。

まずAさんが、視線を持って行きやすいコードで始まる曲をアーティストがセレクト。

Aさんがジャズやクラシックなどに造詣が深いことを知っているアーティストが、

Amコードを受けて歌い始めたのは迫力あるブルース

“Summertime”。

3つのコード

Am

Dm

E7

を使って、視線の移動とそのタイミングを合わせる練習を数回行い、

見事セッションを成功させました。

録音しておいた2人の作品は何度聴いてもしびれます。

選んだ和音を、時には1章節分伸ばしたり、時には8分音符にして4度ジャジャジャジャーンと鳴らしてみたり。微妙にコードをずらしてアレンジしてみたり・・。

ジャズブルースは、速度も歌詞の乗せ方もアーティストのフィーリングによるアドリブで行い、それがまた絶妙な音楽性を生みだします。

このメカニズムが、支援機器を使ってセッションするときにぴったりとマッチするのです。

Aさんの選ぶコードとアーティストのボーカルが見事なハーモニーを生んで、オリジナルの作品となりました。

視線で画面を追うのはかなり疲れるはず。しかし、

少し休む?

という声かけに

大丈夫。

じゃ、もう一曲。

と、こちらもつい欲が出ます。

Aさんも慣れてきて、

選ぶコードも増えました。

それなら!

と、石橋さん。

C

Am

F

G

の4つのコードなら、これがぴったり!と、

“Stand By Me”

をセレクト。

お母さんもスタッフもシェーカーで参加。

クライマックスを受けてここで授業終了。

のはずが、

GarageBandも試したりしてつい最後まで熱が入りました。

今後Aさんは、これまでの指先でのパソコン操作に加え、視線入力による操作を使い、組み合わせることで、汎用性、速度そして体力面でも自由度が増すでしょう。それにより、自分の世界をより広げることができればと願っています。

調べることが好きなAさん、知りたいことにさらにリーチし、挑戦することも増えて行くはずです。

テクノロジーは、ほかならぬ、不自由を抱える人が自分の世界を広げるために進歩しているのだと、常々思っています。それが第一の目的でなければならないと。

身体が思うように動かない人にとって、視線を動かすだけで意を叶えられる・・・素晴らしいことです。

私たちが考える支援とは、健常者を手本に、健常者に追いつけ、というのではなく、その人ならではの、その人らしさを大切にした世界の広げ方を一緒に追い求めていくことです。

SHJは、支援方法を個別的に探り、ITや「その子の状態に合わせた」手作りの学習キットを使って、一人一人の思いを叶えられるよう、「学びサポート」に取り組んでいきます。

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SHJアーティストライブへ!

SHJには素晴らしいアーティストがたくさん。個展やライブには都合が合う限り足を運びます。私が行くと必ず団体のこと、活動のこと、その素晴らしさや関わることの意義を、お客さんたちに語ってくれ、そして代表のことを紹介してくれます。

一昨日は、福岡や沖縄までSHJを広げてくれたボサノバシンガーSatokoのライブが吉祥寺Stringsでありました。

シンガーえびはらなおみさんの歌とSatokoさんのピアノ伴奏による「にほんの唄」コンサート。

普段ギターを携えて日本津々浦々へライブに飛び回るSatokoさん。ピアノは持って歩けないからとギター弾き語りがライブの中心です。もちろん、今回のコンサートでオリジナル曲の数々も披露されました。

「ピアノは久しぶりに弾いた」

というものの、素晴らしい即興アレンジで、その迫力に圧倒されました。

Satokoさんは正真正銘の天才に違いない。

こんな人がSHJに参加して各地で活動、宣伝、そして活動を広めることに一生懸命になってくれていること、何より幸せに感じます。

かたや、えびはらさんは日頃はジャズやボサノバを英語、ポルトガル語で歌っていますが、今回の企画は日本の唱歌をアレンジしたものが主なプログラムでした。

仕事で知り合ったブラジルのヘナート・ブラスというシンガーが、

「ブラジルでは日本の唱歌を学校で学ぶ。その中でも”ふるさと”は大変美しくて人気だ」

遠く海の向こうで子どもたちが学校で歌っているという。

外国でこれほどに日本の歌が愛されていることが嬉しくて、もっと自国の歌を大切に歌おう、と思ったと、今回の企画の経緯を語っていました。

また、えびはらさんのお母様が昔よく歌ってくれたという「びわ」という唱歌、今回はSatokoさんのピアノアレンジに乗せて聴かせてくれました。

「びわ」

びわはやさしい 木の実だから

だっこしあって うれている

うすい虹ある ロバさんの

お耳みたいな 葉のかげに

びわは静かな 木の実だから

お日に温(ぬる)んで うれている

ママといただく やぎさんの

お乳よりも まだ甘く

作詞:まどみちお  作曲:磯部俶

何とも優しくてあたたかな詩。

母国の童謡を歌うことにインスパイアされた「にほんの唄」コンサート。

そういえばと思い出します。

小学校6年の時、

サイモンとガーファンクルの「明日にかける橋」に衝撃を受け、それからというもの、洋楽にのめり込んだあの頃。

それはそれでいい思い出です。英語教員になるという夢を叶えたのも、あの頃の夢中が形になったのだから。

それにしても、足元に素晴らしいものがたくさんあるのに、遠くを夢見て、すぐ近くにある魅力的なものや大事なことに気づかない、ってこと、まだまだあるんだろうなあ。

”灯台下暗し”

もうちょっとスローダウンしたら、見ているつもりでも見ていないものが近くにあるのかもしれない、と教えてくれたえびはらさん。

基礎や本質からぶれないでいると、とっさのときでも最大限の力を発揮できることを教えてくれたSatokoさん。

奥の深いライブに酔いしれた土曜日でした。

〜スマイリング効果 その5〜

芸術をライフワークにする人はなんて感性豊かでしょう。

想像力を駆使して、創造力という磨き上げた技を総動員し、他者に幸せをもたらします。

活動を始めてしばらくしたころ、あるアーティストが意外なことを 口にし、驚いたことがあります。

「毎日絵ばかり描いていて、いったい人の役に立っているのかな、と悲しくなる。自己満足で終わってる感じ」

「ちょっと待って。

誰でも美しいもの、心動かされるものを知らず知らずに求めるもの。

見て聴いて触れて、そして豊かな気持ちになる。

疲れていたり、傷ついたり、気持ちが落ち込んでいたりしたら、なおのこと。

心をリセットしたり、ホッとしたりするでしょう?

まして、闘病中の人、不自由と折り合いをつけながら生活する人にとっては芸術以上の喜びはないと思う。

だからこの活動を始めたの。

特に子どもだったら毎日成長していく中で、情操的なワクワクするような活動が、絶対に必要。

是非力をかして!」

と、口をついて熱く語ってしまいました。

小さい頃から作ることが大好きで、イメージしたものをかたちにするのが得意だった。けれど怠けものだったから専門的な勉強はしなかった。

だけど、趣味として「ものづくり」が日常にあることで、生活が豊かだと実感します。それはそれで良かった気がします。

今はすごいアーティストたちに共感と支えを得て、私自身が豊かな気持ち。「人のふんどしで相撲をとってる」感は否めないけど。だからスマイリングの趣旨に賛同して活動してくれるアーティストには感謝しかありません。

かくして、このアーティストに、私の気持ちわかって~とラブコールを送ったのでした。

もちろん、このアーティスト、喜んで登録してくれました。

今では、

「スマイリングを知って、活動できて本当に嬉しい。松本さんに感謝してます」

なんて言ってくれる。思いを受けとめて行動してくれたことにこちらこそ!感謝です。

本物のwin win。

もちろん、そのことによって子どもたちが、家族が、医療スタッフが喜んでくれることを考えれば、いくつもの

win win

が成立。

なんて幸せ!

スマイリング効果ここにもあり!

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〜ここにいるよ、学びたいよ〜

小児病棟にアートを届ける!と意気込んで活動を始めた頃、これでいいのかな?

と戸惑うことが度々ありました。

新たに課題として取り組まなくてならないことに気づくのです。

そのうち、特にSHJメンバーに大きな学びの機会を与えてくれたエピソードについて振り返ってみます。

ほとんどどの病棟に、重症心身障がいの子どもがいます。病弱な体質を併せ持つ場合が少なくなく、入院加療する子は多いのです。

活動には必ず病棟保育士さんが付き添い、病室をエスコートしてくれます。

どの子にも平等に、

重症の子にも質の良い刺激を、

との方針から、その日活動が可能な子どもたちすべてとやりとりするのが基本です。

しかし、今まで活動した病院でたった一箇所ですが、重症心身障がいの子どものベッドを通過してしまう病院がありました。

あれれ・・あの子は?

と後ろ髪を引かれながらも保育士さんの後を追います。

何か事情があるのか、時間の問題なのか、これから処置なのか・・でも様子を見ているとそれらしい気配はなく、何となく釈然としない気持ちで病棟を後にすることが時々ありました。

また、ある施設では、

「重心の子は発達年齢が1歳で停止する」

などと平気で語る職員がいて、「違うのでは?」という散々のやりとりの後、ここでの活動を取りやめたことがありました。子どもたちには申し訳なかったけれど、活動の内容を1歳児むけに考えて欲しい、という要望にはどうしても応えられなかったのです。

重心の子を預かる施設の専門家でさえこの認識なのか!と釈然どころか唖然としたものです。

「違う!見た目や先入観で決めつけないで!みんな感性が豊か。働きかければかけるほど情緒も安定し、吸収してくれる」

「こちらの工夫次第なのに」

・・・・・

SHJアーティストたちといえば、当然医療や障がいについては素人ばかりです。

やはり重心の子どもたちとどう関わっていいのかわからない、でも楽しんでもらいたいという意見がたくさん出るようになっていました。

決してわからないだろう、なんて決め付ける人はいない。わからないからわかりたいのだ、と。

そうだ!アーティストたちの気持ちとともに、私の釈然としない思いも一緒に特別支援学校肢体不自由教育を専門にする教員に相談しよう、と思い立ちました。

教員もそれは問題、といてもたってもいられない、という様子。1年に1度開催の研修会で、重心の子どもたちをテーマに講義をしよう、ということになりました。

活動する私達が変えるんだ!

「現場にわかってもらえる活動をしよう!重心の子たちにも活動が必要だし、楽しんでくれるということを証明したい!」

研修会を終えると、

そうだったのか!

涙を流しながらさらに質問をする熱心なアーティストもいました。

これからの活動に活かしたい、気持ちが楽になったなどの感想を活動につなげているアーティストがたくさん見られるようになったのです。

現場では、

🌀専門家から見ても新しい発見がある・・

🌀日々関わる立場でも、子どもの変化にハッとする・・

🌀子どもたちに伝わるだろうかという不安が払拭された・・

と感想を話してくれる職員もいました。

🌀笑顔溢れる表情や普段とは異なる身体の動きが、子どもたちにとって心踊る体験だったことを証明しています。

🌀気持ちが通じる時間を持てたと感じることができました。

とも。

重心の子どもたちが気づかせてくれること、それは命の輝き。

そして、ここにいるよ、学びたいよ、というメッセージ。

子ども一人ひとりの自尊心や人格にどう寄り添っていくか。

これこそが障がいの重い子どもたちに関わる私たちの課題なのだ、

ということを、研修会に出席したメンバー全員が、心に刻みました。

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