〜入院しながらNPO活動〜

Facebookで最近出した広告は、10/11ブログ投稿「病室で社会貢献」で紹介した事務局の白髭萌が、入院しながらSHJの仕事をすることにやりがいを感じたことから、このスタイルを広げたい、そして入院生活を充実させてほしい、という願いがはじまりです。

経験者はこの活動を広めることに大きな意義を感じてくれるはず。支援される側、とひとくくりにされるより、闘病しながらできることを一緒にやりませんか。という呼びかけです。

広告↓
【事務局ボランティア募集】
病院にいると単調な毎日になりがち。その時間、社会貢献にあてませんか?

病院にいるからこそ、できること。闘病しているからこそ、分かる気持ち。

自分と同じように病と闘うこどもたちの力に!

業務内容
✔︎ブログ更新
✔︎ニュースレター作成 など
入院中でも、お家からでも、社会貢献したい!という方、大歓迎です。
お問い合わせは こちら→info@smilinghpj.org

スマイリングホスピタルジャパンのアーテイストや事務局ボランティアの中にはたくさんの当事者がいます。
 全盲のアーティスト。
 お子さんに心身障がいがある事務局スタッフ。
 肢体不自由のある事務局ボランティア。
 聴覚に困難のある事務局スタッフ。
 難病の治療をしているアーティスト。
 お子さんを難病で亡くしたアシスタント。
 リハビリ入院先から活動に通うアーティスト。
 長期入院をしながら事務局業務に当たるスタッフ。

経験者は、自分の体験から寄り添う気持ちが生まれる。
難病や障がいによる困難を持たない人は、健康に感謝して貢献したい。

社会が悪い、政治が悪い・・ではなく、課題は一人ひとりの生き方の中にこそあります。
健康で自由に動ける人は「たまたま」そうであるだけ。困難とともに日常生活を送る人への敬いの気持ちを忘れず、区別することなく、ともに幸せを求めてより良く生きようとする姿勢がみんなの心の中にあれば・・・。
あとは行動するのみ。

スマイリングホスピタルジャパン、現在、病院で、ご自宅で、事務所にて活動してくださるボランティア募集中!

お問い合わせは こちら→info@smilinghpj.org

Smiling Hospital Japan Official Website

〜子どもがひとりでいる時間〜

1987年に第一子をニューヨーク州の田舎町で出産した次の年、1988年に日本語訳が発行された『子どもが孤独(ひとり)でいる時間』(Children and Solitude 1962 社会学者エリーズ・ホールディング著)との出会いは衝撃的なものでした。

その頃、不慣れな海外勤務のもと緊張の連続に押しつぶされそうな娘の父親に、心の中をさらけ出す勇気はなく、妊娠から出産、生後11ヶ月までの滞米中、心細さをごまかしながら折り合いをつける毎日でした。妊娠中は月に一度の受診以外は母親学級などもなく、出産が近づいた頃にラマーズ法の講習会があるくらい。すべて小さなクリニックで予約制だったから待合室での母親同士の交流もありませんでした。入院は産気づいた12月31日10:10、出産は1月1日12:43、退院は1月3日午前中。このスピードに、なんとかついていくようにして昼間一人の子育てが始まりました。3ヶ月を過ぎた頃から手のかからない娘を車に乗せて、ショッピングモールへ行ってベビー服作りの材料を買い、帰宅すると娘を寝かしつけ、作業に取り掛かる、そんな毎日が、愛する娘と二人きりで楽しかったものです。乳母車を押して散歩すれば、木々に遊ぶリスたちや排水溝の穴から覗いているアライグマの親子に出会ったり。娘とのそんな時間が懐かしい。

バタバタと帰国、知り合いのいない新しい街での子育てが始まり、しばらくして公園デビューするも、すでに出来上がったグループに入れてもらうより、娘は砂場で一人で遊ぶのを好み、室内での一人遊びも大好きでした。

私自身、小さい頃から一人でいるのが好きだったこと・・ちょうどホールディング氏がこの本を著したのがその頃と重なります・・、娘が一人で何かに夢中になっている時の目の輝きに心動かされたこと・・

これらが気づかせたのが、もしかしたら人は一人でいる時に「わたし」を発見して作り上げていくのかも、ということ。

そんな時に見つけたこの本。

「私たちはとにかく集団でいようとする強迫観念に取りつかれています。誰もがみんなから離れていると利己的であるかの如く感じるが故にお互いを集団に引き入れ、一人でいることを恐れるあまり、集団の中に自らを埋没させるのです」

「もし人間が孤独の中に身を置いて、自分の内側で何かが起こることを許さなければ、人間は必ずや精神的に行き詰まってしまうだろう。子どもでも、おとなでも、絶え間なく刺激に身をさらし、外側の世界に反応することに多大のエネルギーを費やしていると、人間は刺激に溺れ、内面生活や、そこから生じる想像力、あるいは創造性の成長を阻止し、萎縮させることになるだろう」

『子どもが孤独(ひとり)でいる時間』(エリーズ・ホールディング著)より抜粋

同じ目的で集まることはとても楽しいけど、一人でいることが続いても特に苦痛でないという自分は、寂しさという感情が乏しい性格なのか、というくらいに捉えていた自分のスタイル。

娘からの気づきとともに、ホールディング氏の意見に大きく頷く自分がいました。

そして今、娘の第一子が私にさらに子どもの素晴らしさを伝えてくれています。

子どもは一人でいる時に「わたし」を発見して作り上げていくとしたら、この感覚が、病室で病と闘っている一人ひとりの子どもたちを愛おしく感じさせる所以かもしれません。

〜SHJヒストリー19 エリーは心配症〜

「エリーは心配症だからメールしたよ」

一度も担任しなかった中学生Kさん。

だけどものづくりが大好きだったから放課後や自立活動の時間に、よくにわか手芸部を作って盛り上がった仲だ。

きっかけは英語の個別授業で意気投合したこと。

小学校高学年から学校へ行ける状態ではなかったから、学習が大幅に遅れてしまって英語もアルファベットからの練習。地道に頑張って単語から、そして基本文の暗記・・・。

そんな二人のペースの授業だったから、ついつい横道それて授業の半分が雑談で終わってしまったり。あんまり勉強が好きでなかったから、「ここまで終わったら早めに切り上げてさっきの話の続きをしよう・・」なんてしょっちゅう。

身の上話やら好きな芸能人の話に持って行くタイミングを見計らいながら単語練習する、気もそぞろの彼女に「集中!集中!」なんて注意しても迫力なし。

それでもそんな企みに、その手には乗らない!

と踏ん張ってみたものの、すっかりその術中にはまってしまったこと数え切れず。

高校受験を意識する頃、志望高校に制服がないことを知った彼女は、女子中学生の憧れ「なんちゃって制服」を着たい、と言い出した。

そういえば娘が着ていたなんちゃって~がクローゼットのどこかに残っていることを思い出し、Kさんのサイズに裾詰めをし、紺のVネックのカーディガンはユニクロのセールで調達。

一教員がこんなことをしてはいけないことを知りつつ、家庭で準備できないことにいつものお節介が顔を出し、秘密裏のうちに彼女の高校デビューの衣装が着々と揃っていった。

ベッドサイドのカーテンレールに吊るして入学式を楽しみにしていたKさん。

彼女の卒業と同時に教員を辞め、気になる生徒たちを一人ひとり思い浮かべる日が続いたが、やはりKさんは一番心配な生徒のひとりだった。

入院中、手を動かして何かを作っている時間はいつも笑顔で饒舌だった、そんなKさんとの時間もSHJへ駆り立てた大切な思い出。

転院などのタイミングのせいで1年間高校へは行けなかった彼女だが、そのあとさらに1年ほど経った頃、

エリーは心配症だから・・と2年ぶりの連絡が来た。

今ね、◯◯高校へ行ってるよ。すっごく楽しい。看護師になる夢、続いてるよ。

Smiling Hospital Japan Official Website

〜都会のジャングル〜

普段都会のマンションの一室にいると、自然を求め、週末には時間が許す限り山や川へ出かける。そうしょっちゅう遠出するわけにはいかないから、ベランダには父が残したゼラニウムやユッカを株分けした鉢を始め、オリーブ、ミニバラ、アスパラガス、オリヅルラン、そして多肉植物が。観賞用、そしてハーブとして一石二鳥のローズマリー、ローリエ、シソ、山椒。そのうち洗濯物が干せなくなって家族から白い目で見られ・・。

部屋の中まで負けじと植物だらけ。どんどん増えるモンステラ、パギラ、ブライダルベール、ウンベラータ、ネムノキ、ジャスミン、ガジュマル。その他名前が今出てこないものもそこここに。

室内はまるでジャングルです。

懲りもせずにまだまだ増やそうとする私。室内だっていうのにこの有様だ。つい挿し木をしてその成長を毎日の楽しみとする。

ちょっと芽が出ると嬉しくて話しかけてしまう。

新芽を覆う外側の葉が固くなってしまうとなかなか開かないだろうと、枯れかけた葉を剥がして抵抗を少なくする。こんな過保護、我が子にもしたことない。

写真は先日安曇野の直売場で買ってきたハバネロ。

東京の花屋で売っているところは見たことない。

さすが自然の真ん中にいると当たり前に地場のものが手に入る。

赤い実は少しかぼちゃに似た形。そのままハロウィンの飾りにしよう。週末来る孫が喜ぶだろうな。

しばらくすると実がポロリと落ちるようになった。可愛らしい実(食べたら可愛くない)だからそのままダイニングテーブルにそっと飾る。と、気づくと小さな穴から青虫が!

ちょっと見るのが苦手、という方のために写真を極力小さくしました。

子どもたちの大好きな「はらぺこあおむし」の絵本の世界。早速ハバネロの実ごと虫かごに入れて観察。出たり入ったりしながら少しずつ大きくなる。

さてと、なんでも調べる夫が隣で画面を開いている。”夜盗虫”といって、害虫だから発見したらできるだけ早期に駆除しましょう、とある。

気の毒そうに私を見る夫の顔が頭に焼きつくこと数日、テーブルには小さは虫かごが依然ちんまり。何かを訴えているような・・。

私はといえば無言の夫の圧力に抵抗し続けている。

と、ふと見ると脱皮をして蛹になる様子、小さな虫かごの中で自然の神秘のドラマが!

世の中は驚嘆するものに満ちている。ちょっと足をゆるめる気持ちのゆとりがあれば、いつでも見つけることができる。

                柳澤桂子『すべての命が愛おしい』より 

寒がりの私はこれから数ヶ月、自然の中に出かけない代わり、ますます我が都会のジャングルが鬱蒼としてくるだろう。

〜医療ケア児と家族の現状〜

筑波大学病院 患者家族会の夏祭りに参加したのをきっかけに、SHJ茨城地区を立ち上げるとになり、その打ち合わせの席での出来事。

コーディネータ補佐を名乗り上げてくれたNさんはミーティングがはじまって20分が経過したころ、子どもが通う特別支援学校から緊急電話を受けました。

9/15の投稿の「医療ケア児にもっと目を向けて!」の中で、

特定行為(認定を受けた教員ができる学校での医療ケア)として、 口腔内の喀痰吸引 ・鼻腔内の喀痰吸引 ・気管 カニューレ内の喀痰 吸引、胃ろうまたは腸ろうによる経管栄養、経鼻経管栄養を紹介し、それ以外は常駐の看護師が対応する場合と、多くは家族が対処する現状について書きました。

この日、まさにこの問題点を目の当たりにしました。

いつ呼び出されるかわからないことに備えて、子どもが学校にいる間はすぐに駆けつけられる行動範囲に居場所をとどめている。楽しみな息抜きの時間、友人とのランチもなるべく近くで、それでも呼び出しがあり退席することが多いといいます。

子どもが学校にいる間も心身ともに解放されることはない。まさに24時間体制のケア。

当然、母親の就労の機会も、社会参加の機会も極端に制限されているのです。

それでも当事者としての切実な思いから、就学前の医療ケア児のサポートを事業とする団体の代表として多忙な毎日を送っているというから、頭が下がります。

そんな中、SHJの活動に深く賛同して在宅訪問等のアシスタントを、時間の許す限り行っていきたい、と活動への参加にもとても意欲的です。

国はそんな母の強さや正義感に甘えていないでしょうか。

衆院選では各党、子育て支援策で競っていますが、待機児童問題も大事、並行して、女性の就労とその意欲に応えるというのがそのねらいであるならば、医療ケア児を安心して学びの場に送り出せるような社会のシステム作りも重要な課題です。

苦労と闘う家族の、子どもを守る母親の、社会を良くしていこうという意気込みには、当事者としての本気さが人一倍あります。

そんな「本気な母たち」の力を生かせるような社会、これこそが成熟した社会の始まりの姿なのではないでしょうか。

加えて、特別支援学校に通う子どもの医療ケアを必要とする割合は在学者数の約1割(在学者数85,987人に対し8,116人。平成28年度特別支援学校等の医療的ケアに関する調査結果について 文部科学省調べ より)と、決して少なくないしその課題の重要性たるや、見過ごすことはできません。

医療との融合を図れるような学校教育システムの構築、そして医療、福祉、教育の横の連携充実を求めて社会の再構築を切に望みます。

「仕方ないな。それじゃまた」

と笑顔で我が子の元へ急ぐNさんの背中を、彼女への尊敬と社会への怒りが混ぜこぜになった落ち着かない気持ちで見送りました。

参考資料: 平成28年度特別支援学校等の医療的ケアに関する調査結果について