東洋経済オンライン版6/13に掲載された記事を読み返してみた。
中島 隆信 : 慶應義塾大学商学部教授
民間企業の障害者法定雇用率が引き上げられ続けている。それに呼応して、東京都の特別支援学校が就労対策のための特別なカリキュラムを作って就労率を上げようと取り組んでいること、その仕組みはまるで障害児向け「エリート校」だ、ということが書いてある。
背景を調べてみた。
◾法定雇用率の推移
1976 1.5%
1987 1.6%
1997 1.8%
2013 2.0%
2018 2.2%
2020 2.3%(予定)
・・・NPO法人障がい者ダイバーシティ研究会による「障害者(三障害)法定雇用率制度改正変遷に関する参考資料 2013年12月版」より・・・
一方、
◾東京都では企業就労率100%を目指し「職能開発科」と「就業技術科」を設置。2007年に1つの特別支援学校で「就業技術科」が設置されてから、他校も続き、2016年には都内にある7つの特別支援学校高等部に「就業技術科」または「職能開発科」が設置された。
参考・・・東京都特別支援教育推進計画(第二期)
企業は「障害者向け」の仕事を抽出、特別支援学校はそれに合わせて「就労支援」のためのカリキュラムを設定しているというわけだ。
学校生活を終えた後、障害児や保護者にとっての課題は進路選択。
従来のように障害者施設に入り、そこで単価の低い単純作業をするのであれば、学校は何のために存在しているのかということになる。そこで、成果の見えやすい「就労」に力を入れるようになったと中島氏は伝える。
少しずつ意識が変わってきたとはいえ、依然、普通教育においても、良い学校へ行き、良い就職をしてというのが教育の最終目標。
同じことが障害者教育の世界にも。
就職が教育のゴールになってしまっていいのか。という問いかけに、大きく頷く。
障害があろうがなかろうが、一人ひとりが違っているのは自明のこと。それを考えれば、「障害」とは本人の問題ではなく、社会が合理性を求めた結果、私たちが作っている、ということになる。
このことについては、記事を書いた慶應義塾大学商学部教授中島 隆信 氏著
「障害者の経済学 障害者を作っているのは私たち自身である」
を読めば、さらに大きくうなずくことになるにちがいない。
子どもの本来持つ自ら学ぼうとする意欲や、動きながら自然の中で体得していく力を無視し、そして多様性を否定し、規格にはまる人間を作るのが教育ではない。
氏は記事の最後にこう書いている。
「障害者は社会を映す鏡である。そこには現代社会のさまざまな問題が映し出されている。私たちはそこからもっと学ばなければならない」