普段都会のマンションの一室にいると、自然を求め、週末には時間が許す限り山や川へ出かける。そうしょっちゅう遠出するわけにはいかないから、ベランダには父が残したゼラニウムやユッカを株分けした鉢を始め、オリーブ、ミニバラ、アスパラガス、オリヅルラン、そして多肉植物が。観賞用、そしてハーブとして一石二鳥のローズマリー、ローリエ、シソ、山椒。そのうち洗濯物が干せなくなって家族から白い目で見られ・・。
部屋の中まで負けじと植物だらけ。どんどん増えるモンステラ、パギラ、ブライダルベール、ウンベラータ、ネムノキ、ジャスミン、ガジュマル。その他名前が今出てこないものもそこここに。
室内はまるでジャングルです。
懲りもせずにまだまだ増やそうとする私。室内だっていうのにこの有様だ。つい挿し木をしてその成長を毎日の楽しみとする。
ちょっと芽が出ると嬉しくて話しかけてしまう。
新芽を覆う外側の葉が固くなってしまうとなかなか開かないだろうと、枯れかけた葉を剥がして抵抗を少なくする。こんな過保護、我が子にもしたことない。
写真は先日安曇野の直売場で買ってきたハバネロ。
東京の花屋で売っているところは見たことない。
さすが自然の真ん中にいると当たり前に地場のものが手に入る。
赤い実は少しかぼちゃに似た形。そのままハロウィンの飾りにしよう。週末来る孫が喜ぶだろうな。
しばらくすると実がポロリと落ちるようになった。可愛らしい実(食べたら可愛くない)だからそのままダイニングテーブルにそっと飾る。と、気づくと小さな穴から青虫が!
子どもたちの大好きな「はらぺこあおむし」の絵本の世界。早速ハバネロの実ごと虫かごに入れて観察。出たり入ったりしながら少しずつ大きくなる。
さてと、なんでも調べる夫が隣で画面を開いている。”夜盗虫”といって、害虫だから発見したらできるだけ早期に駆除しましょう、とある。
気の毒そうに私を見る夫の顔が頭に焼きつくこと数日、テーブルには小さは虫かごが依然ちんまり。何かを訴えているような・・。
私はといえば無言の夫の圧力に抵抗し続けている。
と、ふと見ると脱皮をして蛹になる様子、小さな虫かごの中で自然の神秘のドラマが!
世の中は驚嘆するものに満ちている。ちょっと足をゆるめる気持ちのゆとりがあれば、いつでも見つけることができる。
柳澤桂子『すべての命が愛おしい』より
寒がりの私はこれから数ヶ月、自然の中に出かけない代わり、ますます我が都会のジャングルが鬱蒼としてくるだろう。