設立のちょうど1年前の2011年秋、かつて勤めていた銀行の当時の人事部長T氏から連絡が入りました。
温和で懐の深い、尊敬している元上司です。
東大病院のすぐ近くでコンサルティング会社を経営していて、仕事が引けると本郷三丁目の美味しいおでんやさんに何度か連れて行ってくれました。
今回もおでんで仕事の疲れを吹っ飛ばそうなどとお気楽な私。ところが事務所に行ってみると、おでんよりももっと奥深い私の野望!を知っていたかのような提案が。
当時チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース銀行)のOBOG会日本支部会長だったT氏は世界各地にいる銀行の退職者と繋がっていて、今回はハンガリーのOBからの連絡を受けて、私に連絡をしてきたとのこと。
私なんぞは、そうそうたる優秀な同期の行員たちの中で、デキの悪さでひときわ浮いていた。公私共に心配かけさせられた私を気に留めてくれるT氏には常に頭がさがる思い。
ハンガリーで退職後弁護士をしているAlbert Royaards氏が始めたSmiling Hospital Foundation in Hungary。病院の子どもたちにアートを届ける活動を周辺国やアジアですでに8カ国に広げている、ぜひ日本でも!と。
誰か適任はいないかとの連絡を受け、趣旨に賛同したT氏は有能な元部下たちに提案するも、なかなか病院と縁がある人が見つからない。多分、苦肉の策で、院内学級で英語教員をしている、おでんをパクパクと食べる元気な元部下に話だけでも、と思ってくれたのだろう。病院に勤務し、英語教員とくればAlbert氏と英語で打ち合わせもできるだろう、と考えたとT氏。
これはまさに私がやりたかったこと!アイデアを形にしなければ始まらない、と思っていた矢先。
今回はその提案を聞いて頭がさがるどころか、思わず抱きついてしまった記憶があります。
お調子ものの私は二つ返事で、
「やります!!!」
だけど、その後地球の裏側から届いたのは、私の熱意に圧倒された、という励まし?の言葉とアイデアだけ。
Albert氏曰く、
「まず一つの病院で隔週で活動するとして、アーティストへの謝金を2回分、ポケットマネーで始められるでしょ。。寄付集めは同時進行で」
無謀なようだが、子育てもほぼ終わった独身貴族の私は教員としての月給が少しずつ貯蓄できるようになってきたタイミング。
すべて見透かされている!!
Albert氏とは、メールでのやり取りのみ。しかも段々と「この人、かなり”いけいけ”の人。3月まではフルタイムで働く私の多忙さにはお構い無しだ」
と半ば呆れてしまった。
しかし快諾したのは私。
T氏も引き気味だったところへ私の返事、さぞ安堵したことだろう。
確かに200%やりたかったことだけど、もうちょっとマイペースでやらせてもらえないかなぁ・・。
しかし、彼からの弾丸のようなメールは英語の勉強にもなったし、同じパッションを感じて、会ったこともないのにいつの日かとても親しい間柄になっていきました。
背中をぐいぐい押してくれるAlbert氏。2年後に来日した時の印象。
やっぱり思った通りの”いけいけ”の、そしてパッションの塊。
意気投合したのは言うまでもありません。
続く・・・。