私が院内学級に配属になったと同時に小学校に上がったMくん。
とても賢い男の子で屁理屈ばかり言って教員たちを困らせていた頼もしい子。
私はといえば、その頃小学5年生の担任だったからMくんと直接関わることはなく、それをいいことに教員たちのタジタジの様子を楽しませてもらっていた”ずるい教員”でした。
「先生、それは~じゃないの?」
「先生、さっきと違うね」
「先生、あーそれ知ってる知ってる」
「先生、じゃあなんで・・はxxなの?」
「あー、先生もわからないのかぁ・・」
思い出したらきりがない。面白かったなぁ。あっぱれ!!なんて心の中で叫んでた。
大人が困ったり失敗したりする姿は子どもにとっては蜜の味。わかるわかる・・。子どものいたずらに共感してワクワク元気になるのは私だけ?
当時小学低学年を担任していた先生たち、ごめんなさい。。
でもいつも上からものを言う大人、ギャフンと言わせたくなっちゃうんです。
スマイリングホスピタルジャパン初回活動の日、「Mくんに会いますか?」と保育士さんに案内されたのは12年前と同じ病室。立派に大きくなったMくん、太い声でボソボソと「先生、久しぶり」。あんなに散らかし屋さんだったのにきちんと整理整頓されたベッドサイド。彼の屁理屈が目の前の几帳面さと重なりました。3月で高校を卒業するという。
結局彼の病気の正体は私には分からずじまい、難しい病気と様々な症状のために、私がいたころは数回家にお泊まりに行く程度でした。
「Mくん、久しぶり!大きくなったね。スマイリングホスピタルジャパンの活動がプレイルームであるけどよかったら参加してね」
「うん、ありがと」一度も参加してくれなかった。高校を卒業するってことはもう大人。みんなと歌ったり作ったりなんてやってられない?年頃になったんだなぁ。
就職は入院しながらを検討中と聞いていたけど、どうなったかな。今は障がいがあっても在宅で遠隔通勤ができるからそのシステムを利用するのだろう。
SHJのホームページの原型はまさに重い障がいを持つ方が数名のチームを組んで在宅で作ってくれたもの。遠隔会議を通して私のわがままを形にしてくれたのだ。Mくんだって同じように病室で活躍できる。
ただ、病院がそれを受け入れるのか、難しいところだろうけど、実現したら画期的だ。入院期間中の電気使用については、充電OKなのはタブレットまで、パソコンの持ち込みは禁止など、制限が壁だったりする。
生まれてからほとんどを病院で過ごすMくん。
理屈っぽい彼は、彼に与えられた特別な使命を、そしてその意味を見い出して、きっと世の中のために行動してくれるような気がする。
「入院しながら就職」
病院を理責めで説得してパイオニアとして実績を積み、病院に居ながら当たり前に就職できる社会を作っていって欲しい。
スマイリングホスピタルジャパンはといえば、院内学級の元生徒が、現在病室で広報を担当。ベッド上でリハビリ兼ねて頑張ってます!
Smiling Hospital Japan Official Website