基本的に小児病棟へ入ることができるのは患児の両親だけ。
面会の時は兄弟であっても病棟の外で待ちます。
特に学齢期の子どもは、学校などの集団で風邪を含む感染症に罹りやすいもの。
面会時に病棟へウイルスを持ち込む危険性が高く、免疫力の低い患児への影響を防止するためです。
大人であっても極力感染のリスクから子どもたちを守る観点から病棟へ入ることはできません。
そんな厳しい環境の中でリスク排除ばかりにこだわれば、子どもたちの日常生活が単調で全くつまらないものになってしまいます。
今では多くの病院が、治療を受けるばかりの生活が果たして患児たちのためなのか、大切な成長期を犠牲にしてはいけないのではないかと、子どもの成長をトータルで考えるようになりました。学校教育の保障は浸透しても、さらにエンターテイメントや趣味、芸術などの文化的活動がもっともっと必要なのではないかという理解が広がりました。
そんな背景から、感染症のリスクから子どもたちを守ること大前提に、病棟でのボランティア活動が広がりました。
・・・感染症のリスクから子どもたちを守る・・・
そのためには採血による抗体検査をし、基準値に満たない場合はワクチン接種をします。
検査対象の感染症は、はしか、水疱瘡、おたふく風邪、風疹です。
検査結果、ワクチン接種証明、そして1年以内に受けた健康診断の結果を、病院への活動申込書に添えて提出し、承認されて初めて病棟に入ることができます。
大好きな兄弟も入れないところに入れてもらうのですからどんな厳しい審査も受けて立つ!そんなボランティアが全国各地で活動しています。
そんな中、
~プロの芸術家がダイナミックでワクワクするような質の高いプログラムを子どもたちに!~
というSHJの働きかけは大胆で刺激的だったようです。
まずやってみましょう。
というボランティアコーディネータの理解のもと、はじめに訪問したのは血液腫瘍等の、長く過酷な治療を要する長期入院の子どもたちの病棟。
まず看護科長(病棟看護師長さん)さんのもとへご挨拶。
「これからどうぞよろしくお願いします」
看護科長さんは、心なしか頬に緊張をにじませながらも笑顔で、
「子どもたちのためにありがとうございます」
それまでのボランティアとは違った、ちょっと変わった雰囲気に不安を隠しきれない様子でした。
そしていざ、プレイルームへ。
子どもたちやお母さんたちは、
「何だろう、何だろう・・」
と興味と不審が入り混じったような複雑な表情で迎えてくれました。
しかし、医師や看護師はといえば、緊張の連続の中忙しそうに立ち働く中、歓迎する様子は微塵もなく・・。
笑顔で受け入れるなどという余裕は全くない、むしろ煩わしい。
院内学級のベッドサイド授業で、医療の妨げになっているかもしれないと感じながらの身の置き場のなさには慣れていたけれど、改めて、
ボランティア?面倒だな・・そんな空気が痛く刺さりました。
そんな現場に構わず、私たちを送り出したボランティアコーディネータは頑として子どもたちのサイドにいる人なんだと感動したのを覚えています。
コーディネータの笑顔と現場の険しい表情と・・・
これは試されている・・
現実の厳しさに打ちのめされながらも、初回、終わる頃には笑顔ほころぶ子どもたちとお母さんたちに救われました。
活動させていただき、ありがとうございます。
まずはスタートが切れたことに感謝と安堵。
この瞬間から、子どもたちにもっともっと楽しんでもらい、必要とされる活動にするにはどうしたらいいか、自問自答の日々が始まりました。
子どもたちが心から楽しんでくれたら、きっと医療者たちを唸らせることができる!
医師たちの厳しい表情は子どもたちにとって何よりのストレス。
よし、病棟丸ごと笑顔にするぞ!!
続く・・。
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