最近、大好きな信玄餅がなぜか井の頭線渋谷駅改札外のK-Shopで売っている。
通路からつい目を引くレジ横にひっかっかっている。
「買って~」とばかりに”甘え”ているのが、やけに可愛いらしい。
なぜ信玄餅だけ?きびだんごは?ひよこは?鳩サブレは?
はたまた、ままどおるは?
などと各地のご当地名菓が頭のなかを回転ずしみたいにぐるぐる回る。
それにしても、これまで現地や近隣のサービスエリアに行かないと買えなかった美味しいものが近くで売っているのを見かけると、嬉しくなるものだ。
そのうち、きびだんご週間、ひよこキャンペーン、ままどおるの季節、と変化していくのか、と想像するだけで楽しくなる。
さて、目下選ばれし銘菓、信玄餅。
無添加、というところも嬉しい。
しかし、きなこひと粒もこぼさずに食べる人を未だかつて見たことがない。
と言っている自分は一番始末に負えないが。
物作りや料理などは器用なほうだと自負する私も、信玄餅を前に、緊張が走る。
モチモチの食感が好きな私は、
やった!信玄餅大好き。
と思わず口にするが、次の瞬間、反射的に息を深く吸う。
そうして心の準備をしてから勇気を出して透明の蓋をそっと開ける。
この段階でこの蓋はきなこに埋もれている場合が多く、まず最初のきなここぼし。
不器用だね~なんて言われるのは不名誉甚だしい。
つぎに真ん中の窪みに黒蜜を。
周りのきなこを少しずつ崩しながら蜜にからめる。
それは美味しく食べるためというより、いかにこぼさないようにするか!の勝負。蜜にしっかりきなこを吸わせるという技の見せ所。
しかし、いざ下に沈められたもちに辿りつくためには相当の用心をせねば、ここで失敗、ということになる。
なるべく息をしない。ここは最後の難関。
くしゃみなどしようものなら大惨事だ。
おまけに、息をとめながら口に入れることの難しいことと言ったら。
しかし、結果いつでも散らかるのだから、派手にきなこをぶちまけようが、この美味しさに辿りついたらもう、どうでもよかったではないか、こぼそうがきれいに食べようが、という言い訳が後に続く。
いつも通り大騒ぎした挙句、「信玄餅の正しい食べ方」というのをサイトで見つけ、これまでの苦労はなんだったのか!と悔しくもあり、安堵あり。
ビニールの包みを開けたら躊躇することなく、そこに餅、きな粉、黒蜜を全部出し、
巾着様に再度包んでからよく揉み、すべての要素を絡め味をなじませてから食べるのだそう。
詳しくはこちら・・・
信玄餅の正しい食べ方「桔梗屋をもっと楽しむ」
ちなみに戦国武将の武田信玄が餅を好んで食べたという歴史的な事実は一切存在せず全く関係ないそうだ。開発者によれば、「山梨県を代表するお土産になって欲しいという願いを込めて、山梨を代表する武将・武田信玄の名前をお借りした」ということらしい。
信玄餅をめぐるすったもんだの”戦い”の日々は終わった。