立春を過ぎて飾った雛人形を、
遅ればせながら今日片付けました。
雛人形をしまうのが遅れると、婚期が遅れる・・・
これはただの迷信ですが
気にする人は気にします。
現に娘が結婚するまでは3月3日のうちにしまっていたような気がします。
習慣になっていたのだと思います。
もっとも娘は早くから自立したから、
家を出た後は飾ったり飾らなかったり。
娘だって一人暮らしの部屋に
小さなお雛様を飾るでもない。
若者はさっぱりしたものです。
我が家の雛人形はひいおばあちゃんの手作り。
おばあちゃんの家に行くと
周りに千代紙を貼った引き出し付きの裁縫箱を
開けて見るのが楽しみでした。
なんでも作って楽しんでいたおばあちゃん。
そんな母親に似たのか、
母は服の仕立ての仕事を生業としていました。
お得意さんがしょっちゅう家に来ては寸法を測ったり
仮縫いした服を合わせに来たり賑やかでした。
私は私で裁縫の残りギレを母にもらっては
袋物やぬいぐるみを夢中で作ったのが小学生の時の思い出です。
手先を動かすのが得意なところは代々受け継がれているようです。
さておばあちゃんが和紙で作った雛人形。
雛人形の他に五月人形やその他たくさん作っていたけれど
和紙を使った人形には顔を描かないのが一般的なようです。
それなのになんという表情豊かないでたちでしょう。
お内裏様とお雛様がにっこり笑って見つめ合っているかのようです。

ホームにいる母に持って行ったのが2月の半ば。
季節を感じてもらうため
それと
手が器用だった母親のことを少しでも思い出してくれるかな、
という思いもありました。
タンスの上にちんまりと飾られた雛人形。
そっと母の手のひらに載せました。

何かを思い出そうとするような表情をした瞬間がありました。
あっ、ほんの束の間、
そういえば・・
と頭によぎったに違いない。
確信します。
確かめるようにぎゅっと握りしめて・・。

ついでに
娘のことも覚えてるよね。
名前を呼んでくれることも
昔のように
愚痴に付き合ってくれることも
もうなくなった。
励ましてくれたり
辛口のコメントくれたりしたことが恋しい。
だけど、会いに行くたび見せてくれる笑顔。
話を聞いてくれるのは昔と同じ。
これがあれば私のお母さん!
また来年も雛人形飾ろうね。
季節は反対側の晩夏。
1年半前の8月の終わりに
母を思って書いたのが
蝉しぐれ。
いつまでも元気でいてほしい。