1年生の夏
木々に張り付く昆虫を見つけては
うんと背伸びをして虫とり網を高く高く伸ばし、
蝶々を追いかけては
網を振り回しはしゃいだ小学１年生の夏は終わり。
日に日に秋の深まりを感じながらも
「もう虫は採れないよ・・」
というじいじの言葉を振り払って
虫かごと虫取り網を持って意気揚々と
森に出かけた1年生とばあばの9月。
かろうじて見つけたのはコガネムシ。
カゴに入れて持ち帰るも
翌日には逃がしてやりました。
1年生の秋
9月は何度か二人で玉川上水の森へ出かけ
自然観察しながら虫を探したけれど
やはり10月が近くなると
小さな幼虫やら干からびたセミの抜け殻やらが
季節の移り変わりを教えてくれるだけ。
虫取りはまた来年だね、と話しながら
家で待っている8月に採ったカブトムシに
気持ちは移ります。
大好きな虫取りができなくても
このカブトムシがいるからつまらなくない。
そんな無邪気な1年生が愛おしくてたまらない。
大切なたからもの
このカブトムシは、家族でキャンプに行くときも
学童保育に行くときも
肌身離さずと言っていいほど大切に！
連れまわす！彼にとって大の仲良し、宝物です。
夏の自由研究もカブトムシの絵。
コンクールに出すそうです。
9月に学校が始まってからも
毎朝、餌とセットに携え登校し
教室のみんなと大事に育ててきたようです。
下校時は何を置き忘れても
カブトムシだけは持って帰るほど。
彼の中での存在感がどれほどなのか伝わってきます。
悲しい現実
ところが、先週の金曜日、
悲しい知らせが3年生のお姉ちゃんから。
本人はショックが大きくて大泣きし
ついに電話には出てくれませんでした。
「9月には普通死んじゃうのに
10月に入っても生きてたんだからすごいよ」
と向かいに住む虫博士大先輩に言われても、
「大事に育てたから長生きしたんだよ」
と家族から慰められても、
受け入れることはできません。
１対１の濃い関係（虫の方はどうなのか・・・）
を失った幼いこころを思うと切なくて
すぐに飛んで行ってぎゅっとしたくなります。
虫の命は儚いと知ってはいても
彼にとってカブトムシが世界のすべてでした。
1年生の命のレッスン
幼い頃、ものを壊すと
「形あるものはいつか壊れるんだから」
飼っていた犬が死ぬと
「命あるものはいつか最期がくるんだよ」
と母から言われたもの。
しかし彼にとって生まれて初めての喪失感は
みんなのひいおばあちゃんが死んだ時とは違う。
自分だけの大切な相棒との別れは
誰かと分かち合えるものでもなく
一人耐えなくてはならないと
彼は知っているのだと思う。
小さな胸が今、どれほどの悲しみと闘っているのだろう。
辛い命の現実を受容するのに
そう時間がかからないといいと願いつつ、そんな思いにとらわれる。
それでも命は愛おしい
彼の中に何か変化が生まれたとしたら
失うことの辛さを知ったこと。
いつかそこを乗り越えたとき
相手への感謝と
それでも命は愛おしいものだと
気づいたらいいな、と思う。
今週末またやってくる彼。
片手にカブトムシのかごはない。
顔を見るなり
ぎゅっと抱きしめて
私は泣いてしまうかもしれない。
アートで人は元気になれる
アートが好き、アートで人は元気になれると共感してくださる方、
「SHJ子どもとアート研究会」で一緒に子どもたちを応援しませんか。
＊まずは代表著書「夢中になれる小児病棟」を読んでみる
＊＊＊＊＊
SHJを応援しませんか？
例えば月１〜２杯のコーヒーを子どもの笑顔に変えませんか？月500円からのマンスリーサポーターを募集しています。いただいたご支援は、アーティスト謝金、交通費、抗体検査、そしてアート＆学びサポートセンター運営費に有効に活用させていただきます！マンスリーサポーター申し込み
Smiling Hospital Japan Official Website
Smiling Hospital Japan Facebook
事務所/SHJアート＆学びサポートセンターへ、
ぜひ足をお運びください！
東京都杉並区永福4-1-9 1-B （京王井の頭線「永福町駅」下車徒歩1分！）
オープン 月 火 木 金 10:30~17:00 土日 不定期
