世界自然遺産知床にやってきました。新潟からフェリーで小樽へ。そして一気に足寄、斜里、知床へと車を走らせました。半島の先へは、唯一の方法、観光遊覧船で。雄大な知床半島を一望しました。
オホーツク海に約70km突き出た北海道北東部の先に位置する知床半島。国定公園に指定されたのが1964年。知床の海は冬は流氷に覆われ、流氷がプランクトンを運び、それを魚が食べ、鳥たちもその恵みを受け・・。魚がふるさとの川をのぼってヒグマなど陸の生物の食料になるという、海、川、陸にまたがる、一大植物連鎖が四季を通して見られます。このような知床独特の生態系からなる命の循環と、生物の多様性、自然を守る地域の人々の取り組みなどが評価され、2005年に世界自然遺産に登録されました。
自然保護活動の傍ら、名産のさけやますの漁が行われ、遊覧船からは漁師さんが一時停留するための宿が海岸線に沿って点在していました。期間限定とはいえ、厳しい自然の中、人里離れた場所で暮らすのはさぞ孤独だろうなと、その生活を想像してみる。誇りと自然への畏敬を胸に、共生を実現させているんだな、と土地の人々に尊敬の念を抱きました。
遥か古代、様々な民族同士の争いを経てアイヌ民族が生き残り、独特の文化が発展、そしてアイヌ民族と大和民族 が交流を始めたのは、鎌倉時代からだとその時代の古文書に書かれているそうです。
キャンプサイトに戻り遊覧船での紹介アナウンスで知った知床を復習してみる。ここには臆せずシカたちが草を食みに来るし、キタキツネも姿を見せてくれました。そして家族でキャンプする風景もあちこちに。
子どもたちが自然の中でのサバイバルを父や母に教えてもらっている。なんとかテントを一人でしまえるようになって誇らしげに微笑む少女の様子をぼんやり見ていると、手付かずの大自然にはやっぱり子どもが似合うな、と。何か共通の、本物の美しさを感じます。子どもたちが生まれ持つ豊かな感性と素直さ、たくましさが、大自然の憧れを胸に秘めた気高さにも見えます。何か原始的な美しさに感動するたび、心に思うのは子どもたちのこと、知床の大自然の中でも改めて確認した今日いちにちでした。締めくくりは最高の夕日。