子どもが大切にされる平和な社会へ

〜医療的ケア児にもっと目を向けて!〜

福祉先進都市東京!?

「安心して生み育てられ、子どもたちが健やかに成長できる街の実現」~子供たちの健やかな成長を、家庭や地域社会一体となって見守っていく。多様なニーズに応じた子育て支援策も充実させていきます」~東京都政策企画局策定「東京都長期ビジョン都市戦略5」福祉先進都市の実現に向けた政策指針~

いっぽう、医療的ケア(家族や看護師が日常的に行っている経管 栄養注入やたんの吸引などの医療行為)を必要としている子ども、いわゆる「医療的ケア児」の中には通学時にスクールバスに乗れない子どもが少なくない、という現状があります。

道府県によっては看護師がバスに配備され、医療的ケア児も通学できるところがある中、福祉先進都市を謳う東京でのことだ。

福祉先進都市東京!?いや、長期ビジョンだから・・といくらでもいいわけはありそうだ。しかしこのビジョンにさえ、今、この時を必死で生き、支える家族がいることへの寄り添いが全くありません。

スクールバスに代わる手段として、自家用車で送迎する家庭も多いですが、運転中に子どもにケアが必要な状態になった時のためにもう一人付き添いが必要となります。

親の体調次第では自家用車で送ることができず、学校へ行けない。

介護タクシーを利用する場合は、同乗してくれる看護師を家庭で見つけなくてはならない・・・。

通学手段に行き詰まると、通学できる状態であっても登校せずに訪問教育を選択せざるをえない。ちなみに訪問教育は東京都で週6時間(一回2時間X3日)が一般的です。登校した場合の30時間に比べて、スクールバス可不可によりその違いは歴然としています。

このように、「医療的ケア児」の教育を受ける権利がどんどん狭められるという不条理の連鎖が起こっています。

さらに、自家用車で通学できても、人工呼吸器、インシュリンの調整、体調が不安定な児童の場合など、親は常時教室の中、または保護者控室で待機していなければなりません。東京都が定める、学校でできる医療ケアの限界があり、それ以外はご家庭の責任のもとで、と。教育現場での医療の限界にぶつかります。

学校でできる医療ケアを特定行為といって、 口腔内の喀痰吸引 ・鼻腔内の喀痰吸引 ・気管 カニューレ内の喀痰 吸引 胃ろうまたは腸ろうによる経管栄養、経鼻経管栄養などを言います。

それ以外は常駐の看護師が対応するが、そこにも限度があるらしい。

親は子どもが学校にいる間も心身ともに解放されることはない。まさに24時間体制のケア。

政策指針の中で、障害者について書かれた内容をみると、

「障害者が地域で安心して暮らせる社会の構築」~障害者の地域生活には、様々な環境整備が必要。居住の場等の整備、自立した生活の実現に向けた雇用・就労、地域社会の理解、これらを促進することで障害のある人もない人も、地域で共に生活する社会を実現していきます~

・・・

福祉先進都市!?

当事者感覚がどこにも感じられない。

追い詰められた医療的ケア児の現状に行政は向き合っているか?

就学前、卒後は施設によっては医療的ケアがあってもバスに乗れる場合もあるそうで、いかに厚労省と文科省に温度差と相いれないものがあるか、ということがわかります。

思い出せば、院内学級で「ここは病院なのになぜ?」と思ったことが度々ありました。先輩教員はよく言ったもの。

「医療と教育、管轄が違うからね」・・・

医療、教育の主人公はいったい誰と心得る? 

医学の進歩によるあまりの変化や多様化にその対応が追いついていないという現状が確かに存在しています。いっぽうで東京の一極集中化も否応なく進み、更に問題を難しくしているのかも知れません。