「患者さんたちに喜んでもらおうとして、子ども向けの音楽を選んで演奏する、というのはどうなのかな?」
とNさん、再び単刀直入に質問をします。
ハープならハープの名曲を聴いてほしい、と。
本物のアートを届けたいSHJの理念にまたピタリ。
「大人ならわかる」という理屈は、少なくとも芸術の感性に関しては当てはまらない、むしろ子どもだから感じることができる、と言えると思います。
よく、子どもにジャズ? ボサノバ?
わかるの~?
という声を聞きます。
これはとんだ先入観。
子どもの心はスポンジのようでそしてとても純粋。
音楽に合わせて自然に体を動かして全身で感じています。
だから素直にいいものはいい。好きなものは好き。
本物がわかるのです。審美眼は大人よりすごい。
だからアーティストたちはいつも容赦ない子どもたちの審査を受けているよう。
子どもたちから学ぶ、成長させてもらうという感覚はここでも納得です。
そんな風に答えると、またまた、
「全く同感。子どもたちに媚びるの、好きじゃないの」と。
せっかくの技があるのに、子どもの好きそうな曲を無理に奏でる必要はない。時に変化を持たせる意味で取り入れるのは面白いかもしれない。
でもそればかりだと、知ってる曲しか興味がない、となってしまいそうで、豊かな感性の持ち主たちには本当にもったいない。広い世界を知る意味でも、素晴らしい音楽をたくさん聴いてほしな。
という私の意見にも、大きく頷いてくれました。
Nさんははっきりとした演奏家としての、パーフォーマーとしての理念を持っている。
聴いてもらう側の心意気を感じます。