悪い劣等感は他者との比較から生まれる。良い劣等感は理想の自分から生まれる。 アドラー
NHK Eテレのこの番組は、「プチ哲」が趣味の私にはとても魅力的なプログラムです。
劣等感・・
この響きは、常に付きまとう黒い影のようでもあります。
いっぽう、
あの人は頭が良くていいなあ・・とか、
足が長くて羨ましい・・とか、
そういった思いは、
特定の他者に対してのうっとりとした憧れ。
よくあることで、それ以上でもそれ以下でもなくさらっとしたもの。すぐに忘れてしまう感情です。
アドラーによれば、他者との比較から生まれる劣等感は悪い劣等感なのだそうで。
「他者に対する劣等感」というと、特定の相手に嫉妬とか焼きもちとかがドロドロと心の底に渦巻いていそうで、なんだか怖い。その人の不幸や失脚を望んだりすることになったとしたら、これは全く負の感情でしかないからやっぱり悪い劣等感か・・。
反面、劣等感が原動力となり、ライバル意識を持って切磋琢磨するのであれば、それは他者との比較だけど成長への肥料になるような気もします。
私などは、
もっと頭が良かったらなあ(勉強しておけば良かった)
歌がうまかったらなあ(途中で諦めたせいかもしれない)
落ち着きのある性格だったらなあ(慌てんぼうの性格は生まれつきだから仕方ない)
などというのが自分の劣等感としてあります。
でも特定の他者と比較して自分はダメだ・・などという深刻なものでもなく、()内の反省の通り、全部自分のせいだとわかってる。
頭が良くて歌がうまくて落ち着いて行動ができて・・これは理想の自分。
劣等感情を並べることによって、一体自分はどうなりたいのかを整理することができました。なるほど、良い劣等感。
だけど、なんだか漠然とした目標があるだけで、「良い劣等感」をバネに自分を成長させるというより、ダラダラとなんとなく頑張るという感じだなあ。
Q. その先、あなたは具体的には何をしたいの?
A.・・・何になりたいのかまでは特に~。
Q. 頭が良くなって何に生かすの?
Q. 歌がうまくなって歌手になるの?
A. え~ちょっと待ってよ、そこまでは決めてないけど、とにかく頭が良かったら今の様な苦労はしないし、歌がうまかったらかっこいいから~。
ってなトコで成長への勢いなし。
理想の自分への劣等感を生ぬるい、と感じるのは怠け者の私だけかな。
悪い劣等感は他者との比較から生まれる
劣等感を抱く他者を「目標」と捉えれば、決してマイナスの感情ではない様な気もする。ゴールが明瞭でスッキリします。
アドラーさん、どうでしょうか。
*アルフレッド・アドラー(1870~1937) オーストリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家。1911年、個人心理学(アドラー心理学)を創始。