小児病棟にアートを届ける!と意気込んで活動を始めた頃、これでいいのかな?
と戸惑うことが度々ありました。
新たに課題として取り組まなくてならないことに気づくのです。
そのうち、特にSHJメンバーに大きな学びの機会を与えてくれたエピソードについて振り返ってみます。
ほとんどどの病棟に、重症心身障がいの子どもがいます。病弱な体質を併せ持つ場合が少なくなく、入院加療する子は多いのです。
活動には必ず病棟保育士さんが付き添い、病室をエスコートしてくれます。
どの子にも平等に、
重症の子にも質の良い刺激を、
との方針から、その日活動が可能な子どもたちすべてとやりとりするのが基本です。
しかし、今まで活動した病院でたった一箇所ですが、重症心身障がいの子どものベッドを通過してしまう病院がありました。
あれれ・・あの子は?
と後ろ髪を引かれながらも保育士さんの後を追います。
何か事情があるのか、時間の問題なのか、これから処置なのか・・でも様子を見ているとそれらしい気配はなく、何となく釈然としない気持ちで病棟を後にすることが時々ありました。
また、ある施設では、
「重心の子は発達年齢が1歳で停止する」
などと平気で語る職員がいて、「違うのでは?」という散々のやりとりの後、ここでの活動を取りやめたことがありました。子どもたちには申し訳なかったけれど、活動の内容を1歳児むけに考えて欲しい、という要望にはどうしても応えられなかったのです。
重心の子を預かる施設の専門家でさえこの認識なのか!と釈然どころか唖然としたものです。
「違う!見た目や先入観で決めつけないで!みんな感性が豊か。働きかければかけるほど情緒も安定し、吸収してくれる」
「こちらの工夫次第なのに」
・・・・・
SHJアーティストたちといえば、当然医療や障がいについては素人ばかりです。
やはり重心の子どもたちとどう関わっていいのかわからない、でも楽しんでもらいたいという意見がたくさん出るようになっていました。
決してわからないだろう、なんて決め付ける人はいない。わからないからわかりたいのだ、と。
そうだ!アーティストたちの気持ちとともに、私の釈然としない思いも一緒に特別支援学校肢体不自由教育を専門にする教員に相談しよう、と思い立ちました。
教員もそれは問題、といてもたってもいられない、という様子。1年に1度開催の研修会で、重心の子どもたちをテーマに講義をしよう、ということになりました。
活動する私達が変えるんだ!
「現場にわかってもらえる活動をしよう!重心の子たちにも活動が必要だし、楽しんでくれるということを証明したい!」
研修会を終えると、
そうだったのか!
涙を流しながらさらに質問をする熱心なアーティストもいました。
これからの活動に活かしたい、気持ちが楽になったなどの感想を活動につなげているアーティストがたくさん見られるようになったのです。
現場では、
🌀専門家から見ても新しい発見がある・・
🌀日々関わる立場でも、子どもの変化にハッとする・・
🌀子どもたちに伝わるだろうかという不安が払拭された・・
と感想を話してくれる職員もいました。
🌀笑顔溢れる表情や普段とは異なる身体の動きが、子どもたちにとって心踊る体験だったことを証明しています。
🌀気持ちが通じる時間を持てたと感じることができました。
とも。
重心の子どもたちが気づかせてくれること、それは命の輝き。
そして、ここにいるよ、学びたいよ、というメッセージ。
子ども一人ひとりの自尊心や人格にどう寄り添っていくか。
これこそが障がいの重い子どもたちに関わる私たちの課題なのだ、
ということを、研修会に出席したメンバー全員が、心に刻みました。
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