病棟でのアートプログラムは、
アーティストの表現の場としては普段と違った緊張感が伴うものです。
プロフェッショナルとはいえ、闘病中の子どもたちの気持ちを楽しくさせるために、自身の専門分野であるアートにひと工夫、ふた工夫、そして一人ひとりに目を配ることが必要になります。
毎回勉強です、とボランティア活動を通して成長する自分を感じるというアーティストたちがいます。
プレイルームに集まれる子は何人?
ベッドサイドで個別の活動は?
年齢は?
安静度はどれくらい?
全てその日、その瞬間で変わります。
今回のアシストは、歌と絵本語りの活動でした。
毎週月曜日に活動するこの病院は小さな子どもが多く、アーティストたちはしっかりとそれを意識して準備しています。
絵本の場合、はっきりした色使いのもの、景色など抽象的なモチーフでなく、人や動物が中心となった動きのある絵を選びます。
活動や研修会を通して気づき学んだことをもとに、場合に応じた工夫と対策をして活動に臨む「クセ」のようなものが付いている・・さすがの熱意です。
アーティストとアシスタントは、毎回活動報告書を作成しながら1つひとつの活動を振り返ります。
その時に、子どもたちからもらった宿題を反芻し、次の活動に活かします。
それは、
🌀応えられなかったリクエスト曲を練習しておこう
🌀読んでと言われた絵本がなかったから次回は用意しよう
🌀色鉛筆をもう1セット余分に持って行こう
ということだったり、
💫楽器を渡して参加してもらうだけではなく、ワクワク歌いたくなるよう活力を引き出すにはどんな語りかけがいいか
💫活動を始める前にどんな会話や雰囲気作りで導入しようか
💫状況が変わった時、決められた時間の中でプログラムの順番をどう入れ替えたらいいか
💫障がいの重い子にはこちらの語りかけに対する少しの変化を見逃さないようにするには?
💫次回は手渡さずに、幾つかある楽器から自分で選んでもらおう
などだったりします。
今回は2歳、3歳、または5歳など、幼児さんが中心の病棟だから絵本をたくさん準備したアーティストですが、小児の頃からかかっている子どもは成人しても引き続き同じ病院で、ということは一般的なことです。
さて次のベッドには26歳の患者さん。
急遽、プレイルームの本棚からストーリーを選び、これなら・・と朗読をお願いした次第です。
思いの外、長い話だったため、汗をかきながら、そして最後にプレイルームで2名待っていることを気にしながらの朗読となってしまいました。
いろんな年齢の方がいる、ということ。
想定していた対象にだけ活動するのではない、ということ。
読み語りや朗読の場合、
絵本の中に、詩集など忍ばせておけば、時間に合わせて1つまたは2つ、患者さんと語り合うようにゆったりと朗読できるね。
そんな宿題を出された今回の活動でした。
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