「全米最優秀女子高生の母」
ボーク重子さんの教育方法が話題になっているというのを新聞で読みました。
「自分で人生を切り開き、どんな時も自分らしく幸せに生きられるように育てたい」
と考え、主体性や自己肯定感、社会性、自制心など、人間としての基本的な力を身につけさせる教育をした結果、我が子が全米最優秀女子高生コンクール*で最優秀賞を受賞したというもの。
*全米最優秀女子高生コンクール 女子高校生が時事問題に関する意見や、音楽、ダンスなど特技を発表し学力、知力、コミュニケーション力、自己表現力を競う。優秀な生徒に奨学金が贈られる。1958年から開かれ、各州と自治区の予選を勝ち上がった代表が全国大会に出場する。
ボークさんの教育方法の柱が「非認知能力」。
学校での教育が認知能力(数がわかる、字が書けるなど、テストの点などで数値化できるもの)だとすると、
「非認知能力」とは、目標に向かって頑張る力、他の人とうまく関わる力、感情をコントロールするなどの力です。
「非認知能力」を養う教育の具体例を挙げると、
受動的なおもちゃ(ゲームやテレビ)ではなく、能動的に遊べるおもちゃを活用すること。
例えば身の回りどこにでもあるような廃材、紙、段ボールなど。工夫したり想像力を駆使してもの作りするような活動が良いと思います。
お絵描きや粘土、工作など創造性を豊かにする遊びはとても有効。夢中になって遊びこむ時間をたくさん作ることも大切だと感じます。
うまくいかないときにすぐに諦めることのないように「どうしてかな」「こうやってみよう」「この方法ならどうかな」など、目標の達成まで頑張る姿勢を身につけることです。
失敗しそうな時、「こうしたら?」とアドバイスしてあげると、頑張りが続き、「頑張ればできる」という習慣が身につくかもしれません。我慢できること、感情をコントロールする力なども養われるでしょう。
たとえ始めはうまくいかなくても、まわりの意見を聞き学ぶ意欲を持ち続けると、次第にできなかったこともできるようになり、伸び幅が大きいといいます。
また、自分で考えやってみてその過程の良いところをまわりの人が見つけてくれて褒めてくれたらどうでしょう。
とかく結果(数値はテストの点数)で親子とも一喜一憂してしまうことが多いものですが、こんな環境ならやり直しのきくたくましさが培われる気がします。
結果があまり気に入らなくても、やり方に工夫したところに気づかれ褒められたら、自分はこのままでいい。大事にされている、と実感します。
ボークさんは、小学校1年生の頃から毎週日曜日の朝、親子三人分の朝食を任せたそう。台所にあるものを使ってできるものは?そんな工夫や考える力が自然に身につき、さらに任されることで、「自分は必要とされている」と感じることができます。だからこそのびのびと育っていける。
意見や考えを押し付けたりせず、
どう思う?
あなたらならどうする?
と折りにふれ意見を聞いたと言います。
思考力や表現力を育むのに、これほど効果のあることはないでしょう。
「自分の思っていることを言って良い」
という自信にもつながり、将来人間関係の構築にも困らないような気がします。
どうやら、
🌀「認知能力」を身につけること=机上でできるもの=紙と鉛筆絵を使って身についたもの=個人を合理的に評価するための数値
🌀「非認知能力」を身につけること=体感しながら培うもの=身体を使って身についたもの=自分で人生を切り開いて幸せになるための能力
と定義されるかもしれません。
前者は人生を楽しむためには必ずしも直結しないけれど、後者は一生残る自ら切り開く力と言えそうです。
ちなみに、IQを高めるような早期幼児教育を受けている間はその数値は急激に伸びますが、9歳ごろになるとIQの差はほとんどなくなるそうです。
幼児期に認知的な能力を高めることが、その後の人生の成功や安定につながっているのかというとやはり、あまり関係がなさそうです。
はい、机に向かって勉強、勉強!
ではなく、
どんな小さな子にも、
意見を話す機会を、
話し合う習慣を、
自分でやってみる環境を、
失敗してもやり直せばいい雰囲気を!