小児病棟という特殊な場所が私たちの活動場所です。
誰でもボランタリーな気持ちさえあれば活動できる、というわけではありません。
両親しか入れないところに入れていただく、ということを忘れないことです。
兄弟さえ入ることができない場所で活動させていただくのだという謙虚さがあれば、病棟は爽やかに迎え入れてくれます。
もちろん感染には細心の注意が必要です。
主な感染症の抗体を基準値以上持っていることは必須。
罹ったことがある、子どもの頃に予防接種を受けた、という申告だけではなく、病院で採血をして証明を出さなければならない場合がほとんど。
子どもを感染症から守るため、そして活動者も感染しないためです。
咳や熱があれば当然、活動は中止です。待っている子どもをキャンセルでガッカリさせたくはありません。
だから風邪やインフルエンザ、ノロウイルスの流行期はしっかり体調管理をします。
また、持ち込むものにも配慮が要ります。
例えばバルーン。子どもは風船が大好きですが、ラテックスアレルギーのある場合もあります。特に工作など直接素材に触れる活動では、物によりあらかじめ病棟に確認しなくてはなりません。
ここまでは基本的な準備です。
ここからは心構え。
アーティストボランティアは
医療については素人です。
機会を作り、小児の病気について学ぶことはとても良いことです。
でも直接子どもに、家族に、医療スタッフにどんな病気なのかと聞くことは避けます。
病気の名前より、どんなことに気をつけたらいいのか、アドバイスをもらうことは良いですが、短い時間に忙しい医療者を引き留めて立ち話をするのは現実的ではありません。
だから、年に一度の研修会で勉強会をしています。
ここまで書いてみると
結構ハードルが高いなあ、と改めて感じます。基本事項はおさえなくてはならないのは当然のことですが。
しかし、この活動に賛同して仲間になりたいと応募してくれたアーティストたちです。
それだけで、実のところほぼ100%信頼に値します。
いかにして自分の技術を生かして笑顔を沢山作ることができるか、ワクワクしながら活動の日に向け準備をするアーティストばかり。
あとは、活動を提供する相手の状況に際し、想像力を働かせ気持ちに寄り添わなくてはならないことは、活動を重ねながらアーティスト自ら学んでいきます。信じた通りに、です。
私たちは何もわからないけど、
君たちが心のままに創造力を発揮して楽しんでもらいたくて来たよ。
さあ、一緒に作らない?
歌ってみない?
楽器を奏でてみない?
マジックに挑戦してみない?
と。
でも参加を無理強いはしません。
音楽ならなんとなく聴いてくれるだけでも。
子どもたちが集まってくる前に準備が済んだら、まず活動者が楽しむ。
それを見て、
何だろう・・
面白そうだな・・
やってみたい・・
と子どもたちが思う雰囲気づくりをする。
直球ではなく
ここにいるよ。よかったら一緒にやらない?
そんな感じです。
そのために
・主体的に創造したくなる魅力的な素材を準備
・年齢や状況に合わせた活動の引き出しを複数用意
・子どもが主役であるという意識を常に持ってもらう
・子どもから学ぶ、という姿勢で
・教えてあげるのではなく、子どもの主体性を信じて独自な創造活動を一番に尊重し、ヒントを伝えたりお手伝いをしたりするというスタンス
そんな風に
活動をスタートする前に
そして折にふれ、
私たちの立ち位置を共有します。