聞こえに困難がある場合、人工内耳というのを使う場合があります。
耳の奥などに埋め込まれた部分に音をマイクで拾って送る、というものだそうです。
耳にかける装置を使う方は少なくありません。
音はどうやって認識されるのか、
調べてみました。
鼓膜の奥の方に蝸牛という文字通りかたつむりの形をした器官があります。
外耳道から入った音の振動が蝸牛に伝わり、
蝸牛の有毛細胞に刺激が加わると、
細胞が興奮して電気信号に変換されます。
この信号が聴神経へ伝わりさらに脳へ伝えられて音や声として認識されます。
(日本耳鼻咽喉科学会サイトを参考)
福岡のアーティストの紹介でFacebookで繋がった
吉本信行さんはプロのベーシストであり人工内耳ユーザー。
聴覚が不自由でありながら音楽をライフワークとして続けているその心意気とプロ意識に感動し、直接お会いする機会を楽しみにしていたところ今回下関からチャリティライブに演奏参加してくださいました。
あれ?耳に何もかけていない。
今は外しているのかな?
そう思っていると、
吉本さん、私の視線を感じたのか、
すかさず頭から丸いコード付きのデバイスを取り外し見せてくれました。
これ、磁石になっててくっつくんだよ。
皮下に埋め込んだ金属に装着すれば、電気信号に変えられた音が脳に直接伝えられるしくみだそうです。
両耳に施している吉本さんは
もともとベーシストですが、
数年前に聴覚を失い、失意の日々を過ごしたそうです。
自分の生きがいである音楽がもうできなくなるのか、と。
失って初めてその大切さに気づく、
とよく言いますが、
吉本さんも当たり前にあったはずの聴覚を失って初めてその大切さに気づき、
そしてそれを行動に移した人です。
失った人やもともとその機能を持たない人に諦めないで欲しいとの願いから
人工内耳の普及活動に駆り立てられたそうです。
もちろん音楽活動と並行して。
人工内耳を入れても音の聞こえ方は以前とは全く違う。音楽を聴いてもまるで電波の悪いラジオを聴いているよう。しかも音の高低もつかめない。
演奏するときは以前の勘や記憶を頼りにストリングスを奏でる。
セッションがきちんと合わせられているかは
メンバーの動き、合図で判断するそうです。
それぞれが違和感を感じていなそうであればそのまま続行していいのだと。
人工内耳をより良く使うためにはメインテナンスは必須だといいます。
音楽活動が鈍ってしまわないよう聴くトレーニングを毎日しているそう。
ライブが始まりました。
まず演奏の素晴らしさに感動。
しかもその日初めて会うというミュージシャンもいる中聴くことに不自由があるなどと
微塵も感じさせない、
むしろ忘れてしまうほどのスムーズな打ち合わせ
そして自然に音楽がスタート。
そのあとは言わずもがな
セッション進行のコミュニケーションツールは言葉でもなく
楽譜でもなく
音、リズム、進行、アイコンタクト・・。
音楽は
non verbal communication=非言語コミュニケーション
と言いますが、
それは目の前でいつも繰り広げられる
ワクワクし感動する場面です。
吉本さんが生き生きと楽しそうに演奏しているのを見ると、さらに深く納得します。
吉本さんは言います。
世界中に、聴こえない子どもたちがたくさんいる。
僕も音を失って初めて音の素晴らしさが、わかった。人工内耳の手術をして、少しでもその素晴らしい音を取り戻そうと、毎日トレーニングしている。
日本各地、そして世界中いろんなところに行って、聴こえないひとたちに、人工内耳の手術を啓蒙したい。
僕には息子がいて、一生、息子の声は聞くことができないと思ってた。だけど、まさかまた息子の声が、聞けるなんて思ってもみなかった。もちろん、人工内耳を通してなので、覚えてる息子の声とはちがうけど。
だから、世界中回って、人工内耳の手術の啓蒙活動をするのは、僕のように、中途で聴こえなくなった人たちには、もう一度、あなたの愛するひとの声を聴いてくださいと伝えたいから。
生まれつき聴こえない子どもたちには、お母さんの声を聴かせてあげたい。
それには人工内耳の手術しか、いまのところ方法はないのです。
そんな気持ちで、世界中回ってるので、また、東京などでも見かけたら、よろしくねー素晴らしい出会いに感謝(^^)
こちらこそ!
全く明るい。
このノリとパッションでする普及活動
その影響は計り知れない気がします。