最近、病棟で活動するにあたり
ボランティアが入棟する際に必要とされる
検査項目が増える傾向がある。
現在行っているものは
✔︎風疹 麻疹 おたふく 水ぼうそうの抗体検査
✔︎基準値以下の感染症のワクチン接種
これにより
主な感染症の抗体保持が確認でき
結果
子どもたちに移さない
移されない
ことが担保され
病棟は安心してボランティアを迎え
ボランティアは念願の活動ができる。
これらの結果全て
□各ボランティアごとに医療機関発行の証明書を提出する病院
□団体として全ボランティアが検査、接種済みであることを書面にて誓約する病院
□書面による自己申告のみの病院
□申告だけで良い病院
など、病院によって抗体の確認方法は
さまざまだ。
さらに
一年以内に受けた健康診断の結果や
胸部レントゲンの結果
を揃えて提出、
という病院も多い。
最近の傾向として
すでに活動している病院からも含めて
B型肝炎の抗体証明を求めらることが
ぽつりぽつりと出てきた。
小児病棟でのボランティア活動へのハードルが高いのは
こういったことにも理由がある。
もっとも、
外部からドヤドヤと人が
押し寄せることが適切な場所ではないことは
言うまでもないが。
ボランティア活動とひとことで言っても
ボランティア精神だけでは叶わない。
その代表がまさしく病院での活動かもしれない。
歓迎されていないのでは
とこの期に及んで悲観してしまうことも
実はなくはない。
だが病院がボランティア活動に対し厳しい目をもつことに
恨みを抱くというのは
全くの見当違いだ。
感染に対して厳しいリスク回避を行うことは
至極当然のことである。
病院とは
何はさておき
安全第一
が全ての根底になければならないのだから。
その上で
患者の生活の質
人権
生きる喜び
尊厳
といった部分に出来る限り寄り添うことが
医療現場のあるべき姿だと思っている。
*****
最近、我が子に降りかかった医療過誤
という過酷な体験から
医療の安全を目指して立ち上がった母親の物語を読んだ。
「ジョージィの物語 」ソレル・キング著 英治出版
長く続く壮絶な苦しみの日々は
病院への怒り
あの時ああしておけば・・という自責
社会の無神経さ
悲嘆と苦悩しかなかった。
しかし
我が子が母親に何を望んでいるか、
医療現場を良くするために自分の声が生かされるのでは
という自問自答ののち
動き始める。
我が子と家族の苦しみを無駄にすることなく
病院との対立を越えて
医療過誤を無くすための基金
「ジョージィ・キング財団」
を立ち上げたのだ。
彼女の声が反響を呼び
全米の病院や大学などで
体験を通した精力的な講演活動で
医療は変えられることを
新しい視点で提言し続けている。
*****
闘病する子どもたちの成長や生活そのものに
寄り添うことが
スマイリングホスピタルジャパンの活動だ。
しかし
それは
安全
が確保されて初めて実行できること。
医療過誤防止含めた
医療現場の安心安全は医療従事者が、
そして
抗体の厳重な確認は
ボランティア含め小児病棟に入る立場が、
それぞれ
患者を守り
医療現場が安全な場所であるために
常に肝に銘じていなければならない。
この両方の立場の連携の崩れが
院内感染という結果を引き起こしてしまうことは
絶対に避けなくてはならない。
この本を読み、
全国の病院でボランティア活動する
責任を改めて強く感じた。
同時に
医療従事者の安全を巡る葛藤
という視点でも現場を理解することが
少しできたような気がする。
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「ジョージィの物語」
この本も英治出版の担当プロデューサーが
訳者の方を紹介してくださりつつ
是非と勧めてくれた。
病院におけるテーマと
それを巡る
社会課題に気づかせてくれたこと、
そして
社会変革に取り組む素敵なひと
良い書物
との出会いに感謝したい。