つれづれにっき〜スマイリングな日々〜

出生前診断・・・いのちの選別が当たり前になりつつある危機感

診断を受けた人のはなし

妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新出生前診断。

先日、30代前半だった妊娠初期にこの診断を受けたという人の話を聞く機会があった。

年齢が対象外だったから

無認定の機関で数十万の検査料を払って受けたのだという。

何か当然のようなやりとりの中で

動悸と吐き気を催し、席を外した、ということがあった。

30歳そこそこの若者の一つの生き方を知り、なんとも気が滅入ったのだ。

科学の進歩とは・・・

先回りして起こりうることを未然に起きないようにする・・・

自分が避けたいことは検査で避けることができる・・・

生まれてから死ぬまで成長を続けるのが人間なのに、

科学の進歩が、

あえて成長の機会を自ら放棄させる装置を作っている気がしてならない。

だとしたら、生きる意味は

深い思索を遠ざける享楽的な一瞬一瞬でしかないような気がする。

図らずも、

救えなかった命を救えるようになったのも科学の進歩によるもの。

それにより生まれつき重度の障がい児が爆発的に増えたのではないか。

こんな矛盾ってあるだろうか。

年齢制限が消える!

さらに

2013年に導入されたこの診断は

これまで35歳以上が対象だったが、

この春から35歳未満にも認めるという指針が打ち出された。

検査の主な対象として

胎児のダウン症などのリスクが上がる高齢の妊婦や

過去に染色体異常のある子どもを妊娠した経験がある人、

とはしているものの、

年齢枠は取り払われる。

対象年齢を限定しない理由として

「遺伝カウンセリングを実施しても不安が解消されない場合は

本人の意思が尊重されるべきであるとし、全年齢に認めた」

と日本医学会は伝えている。

全く意味がわからない。

誰かこの文章を読解して説明してほしい。

受診の場も増える!

受診可能な施設も従来の認定施設の下に

連携施設を設けるなどしてその数も増やすらしい。

ただし、

遺伝カウンセリグなどの体制が整わない

無認定施設も既にたくさんあるそうだが、そこへは行かないよう

保健師などが情報提供する、ということだ。

しかし、

検査の存在自体が妊婦にモヤモヤ感を与えてしまって、

不安を煽られる妊婦さんも多いのではないだろうか。

冒頭の女性がその一例だろう。

ふと、35歳以上という指針が適用されている今、「出生前診断」で検索してみた。

すると、

「希望するすべての妊婦さんへ」

と銘打って

✔︎年齢制限なし

✔︎赤ちゃんの健康を確かめます

✔︎陽性の場合検査料を当院が負担します

などと謳った広告が溢れている。

指針などあってないようなものだ。

そして

検索ワードとして

「出生前診断 受けなかった 後悔」

「出生前診断 費用 安い」

「出生前診断 受ける割合30代」

などが並んでいる。

年齢に関係なく妊婦さんを受診に駆り立てるようなサイトがなんと多いことか。

認定を受けていない施設は美容外科などが多いことから

プチ整形のノリで受診するようなことになってはいないかとまで考えてしまう。

命という崇高なテーマの前で

若い妊婦さんたちは、授かった命を愛おしく思うも束の間

障がいがあるかもしれなですよ、

さあ、どうします?

といたずらな決断を迫られることになる。

その決断とは他でもない命の選別だ。

妊婦さんに一生の心の傷を負わせることにならないだろうか。

命の選別につながる、という指摘がありながら

受診の機会がどんどん広がっていく。

その風潮の中で人々の価値観も靡いていく。

命の選別が、猛スピードで当たり前のことになっていく。

手を伸ばして

待って〜と叫ぶ自分がいる。

若者たちよ、

さまざまな体験や出会いを通して命の尊さをたくさん体感してほしい。

そして

自分の体内で芽生えたかけがえのない命を畏敬を持って大切に、一緒に成長してほしい。

人それぞれ考え方は違って当然だ。

しかし、命に関しては・・・命に関しては・・・

人間が踏み込んではいけない一線というものがある

先日、出生数が84万人で過去最低だと新聞が伝えていた。

感染症流行による影響は計り知れない。

しかしその影で、

出生前診断の普及がこの現象に少なからず影響を与えていることは想像にかたくない。

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