息子による逆出前授業~その2~は助け合いの精神”ゆいまーる”。
沖縄の人は人を大切にするのが当たり前。どこの馬の骨ともわからない息子を迎え入れ、家族同然のように可愛がり、相談に乗り、世話をしてくれる里親さんのことを思えば大きく頷けます。これは支え合いの精神”ゆいまーる”が根底にあるから。
結(協働)が回る(順番)、というのが語源だそうですが、文字通り、困っている人に対し周りの人が団結して助け、また別の人が困ったときにはそのほかの人が団結して助ける、という支え合いの考え方です。結(ゆい)とは主に小さな集落や自治単位における共同作業の制度。一人で行うには多大な費用と労力、時間がかかる作業を、集落の住民総出で助け合い、協力し合う相互扶助の精神で成り立っている(ウィキペディアより)そうだ。決して孤立したり、まして孤独死など無縁でしょう。
都会を愛する人は人間関係の煩わしさがないことをその理由に挙げることがあります。東京で生まれ育った私は幼い頃、大人の監護の下に子ども会というのがあって、地区ごとに年少の子から小学校高学年までが徒党を組んで!?いろんな行事に参加したり6年生がリーダーになってお楽しみ会をしたりしたものです。いつの日かこの慣習も薄れていき、大人になる頃にはなんだか近所の子たち同士も大人たち同様、ヨソヨソしくなってしまった。そういう私も正直、気楽でいい、なんて思うように・・。東京の一世帯の平均人数は最下位の2,02人(【出典】平成27年国勢調査人口及び世帯数 東京都調べ )で、年々減少傾向にあります。少人数の家族だけでひとしれず困窮を抱えてしまうケースが多く、悲惨な事件に発展することも。隣の人の顔も知らない、いざという時に近くの人に助けを求めにくい・・そんな地域関係が希薄になっている東京こそ、”ゆいまーる”の考え方が必要なのかもしれません。都会の一極集中と孤立の矛盾は人間関係の希薄さ、共感の欠如から生まれるのではないでしょうか。
そんな中、次第に広がる「子ども食堂」は、人々が、食と居場所でつながることへの回帰、まさに”ゆいまーる”している!?のかもしれません。
ちなみにSHJ事務所がある東京都杉並区には「きずなサロン」、「まちカフェ」、「子ども食堂」が各地にできています。その数、6月現在で10か所。一人暮らしで孤立しがちな高齢者や孤食を強いられる子どもたちが地域や他人とつながることを目的に増え続けています。個々で運営していた食堂なども互いに連携をとるケースも出てきたこと、食材を善意の寄付で賄っていること、それはまさに”ゆいまーる”。
子ども食堂の多い滋賀県では、今年度は県がこの事業を支援するため1212万円を計上したそうだ。滋賀県の取り組みが素晴らしいのは確か。でもこの動きが当たり前に全国に広がることを願います。国民を飢えさせないのは国の務めであること、偉い人たちには基本に立ち返ってもらいたいなぁ。
話が少しそれたけど、人は一人では生きていけないという謙虚さに基づいた”ゆいまーる”の理念は、前へ前へ、もっともっとと欲しがるうちに心が乾いてしまいそうな現代人に、前だけでなくて自分のぐるりを見て!とたしなめてくれているように感じます。