子どもが大切にされる平和な社会へ

〜お母さんの力〜

医療の進歩は目覚ましく、助からなかった新生児の命が救えるようになりました。命を守るために医療がある、という究極の医学のミッションを考えれば、医療の発展は人類の一番の喜びです。しかし、命さえ守ればいいのか・・という問いが頭をよぎる事もしばしばです。

障がいや重い病気を持って生まれた赤ちゃん。楽しみに待っていた我が子との対面は保育器を通して。しばらく抱く事も、吸う力がなければおっぱいをあげる事も出来ない。それでも命いっぱい懸命に生きる赤ちゃんを見守りながら家に連れて帰る事を楽しみに待つ母。小さな体に点滴をつけながらの長期入院に耐え、待ちに待った退院。はち切れそうな不安を抱えて。人工呼吸器や中心静脈栄養など医療ケアを手放せない在宅生活がスタートします。ここからは訪問医療や訪問看護を受けることになります。

このような子どもは10年前の2倍に増えたというデータがあります。家族は不安を募らせながらケアのために慢性的な睡眠不足や外出もままならないという終わりのない苦労を強いられます。社会から孤立したり体調を崩したりする母親、家庭の不和なども耳にします。シングルマザーになって障がいを持つ子どもを女手一つで育てている家庭を幾つか知っています。そんな母親と懸命に命を育む子どもを病院が社会に送り出した後の社会的支えの遅れが喫緊の課題です。母子は命と引き換えに心が暗闇に置き去りにされていたとしたら・・。医療的ケア児保育を積極的に進める自治体もありますが、全体的に対応の遅れが目立つのが現状。看護師などの医療者の配置が必要だからです。

そんな母親たちが立ち上がり、医療や支援機関と連携をとりながらともに語り合い支え合う団体を立ち上げています。情報交換、子ども同士の交流・・。当事者としての経験が原動力になって、全国にたくさんのグループが誕生しています。我が子のために決して労を惜しまない行動力には圧倒されます。母は本当に強いのだ!苦労しても苦労しても笑って吹き飛ばす肝っ玉母さん。決して髪振り乱してなんかいないところがまた素敵だ。娘世代のお母さんばかりだからますます応援したくなります。

若いお母さん頑張れ!我が子から命のレッスンを受けながら学んだことを、親子メッセンジャーとしてどんどん発信してほしい。地域で安心して育てていけるよう、そして困難を抱える人たちが社会の中でともに生きることが当たり前の社会を目指して!

⬛︎スマイリングホスピタルジャパンが活動している重症児の会

「NPO法人重症心身障害児者の自立支援活動ひまわりHAUS」

「特定非営利活動法人なかのドリーム」

「NPO法人かすみ草」

「杉並重度心身障害児親子の会 みかんぐみ」

「児童デイサービスPrimo」

「筑波大学附属病院小児患者家族のおしゃべり会」

⬛︎スマイリングホスピタルジャパンは在宅訪問によるアートデリバリーも始めました。現在東京、千葉、広島市内で行っています。今後他地域にも広げる予定です。