子どもが大切にされる平和な社会へ

 〜副籍制度、機能してる?〜

都立特別支援学校には副籍制度というのがあります。

「都立特別支援学校の小・中学部に在籍する児童・生徒が、居住する地域の区市町村立小・中学校(地域指定校)に副次的な籍(副籍)をもち、直接的な交流や間接的な交流を通じて、居住する地域とのつながりの維持・継続を図る制度(東京都教育委員会)」

入院して特別支援学校院内学級に入るためには基本的に学籍を異動する必要があります。そして元いた学校とは、退院して戻った時のために学校(担任)が窓口となって折にふれ連絡を取ります。

遠方から入院する場合は、学級通信や日記の交換などを通した交流が一般的で、特に学籍に関わる手続きは必要ありません。しかし、居住地が比較的病院から近かったり入院期間が長かったりなどの理由で、副籍制度を利用し、前籍校に副籍をおいて通信の交換などの間接交流に加え行事や授業に参加する直接交流を希望する生徒もいます。

これは私が教員だったころの話なので6年ほど前までのシステム(確か平成19年施行)で、施行当時は手続きに3ヶ月かかっていました。実施も慣らし運転の状態だったけど、手続きにかかる時間含め、その後どうなったかな、と調べようとしましたが、調べきれずすっきりしません。あのころ疑問に思っていたことがそのまま迷宮入り。

共生地域の実現とかインクルージブ教育などの理念、期待される効果などが書かれた東京都教育委員会発行の副籍ガイドブックと古い実態調査が見つかっただけ。

今もこの制度は確かに存在しているようですが、ひょっとしてあのころあまり活用されていなかったから少なくとも院内学級では形骸化しているのかもしれません。

交流活動に向けて、双方で打ち合わせし、特に受け入れる側は事前の準備を万端整えているものとして副籍校へ。しかし、特別な感想もなく帰ってきたTくんを思い出します。

一回交流すれば「インクルージブ教育やってます!」になってしまうのかな。

ほんの数回で終わってしまう理由・・現場に違いを認め合う土壌がないから。

事前に副籍校で出前授業等して、障がいや病気について話し、障がいや病気のある子どもの理解を図る、それが副籍校に送り出す側の務めであり、そしてそれを積み重ねて本当の交流ができるのだろう。

副籍校としては、退院後復学に向けた子どもの学校への適応のために必要なはずだが、緊急時の対応 や発熱時、けが、感染症発生時の対応など、健康上の問題ばかりに気を取られる場合が多いという実態もある。

実態に即した本物のインクルーシブ教育を実現するためには、知育偏重から全人教育への変換、現場の意識改革が前提なのではないでしょうか。