SHJ設立に向けてインスピレーションをくれたのは、やはり院内学級の芸術科の教員たちです。
主要教科よりも断然!子どもたちの目が輝くのは創造力を駆り立てる活動。
その中で、教員生活7年間一緒だったのが声楽家のMariさん。
つくるのは比較的得意な私ですが音楽は全くダメ。Mariさんの美しい歌声が音楽室から漏れてくるたび、うっとりとしていたものです。
そんなMariさんのベッドサイド授業にアシストする機会がありました。
小学1年生のEくんは緩和ケアに入っていて、お父さん、お母さん、そして兄弟たちが個室に入ることを許されていました。ベッドの足元で何かが動いているのに気付き、ふと見るとまんまるの赤ちゃんがニコニコ笑っていました。ベッドの中は大好きな弟と、お気に入りのおもちゃでいっぱい。
我が子のために考えつくありったけの愛情を注いでいたお父さんとお母さん。穏やかなその姿は、今思うと、どこか覚悟を決めていたのだろうか・・・そんな時期でした。
リクエストには何でも応えるSHJアーティストとしても有名なMariさん。もちろん、音楽の授業でも子どもたちに人気のホットな曲をいつでもアップデート。楽譜さえあれば初見でも大丈夫。子どもたちが聴きたい曲をハミングしただけで、こんな感じ?とメロディーを即座に再現してあっと驚かす。音楽は楽しいもの。ここからスタートする授業です。
ベッドサイドでの授業では目の前の子にうんと寄り添うことができます。比較的体調の良い時は、弾き語りに合わせて体ごとリズムを楽しんだり思いっきり歌ったり賑やか。
そんな最中でもちょっとの変化も見逃さないのがMariさんのすごいところ。
この日、Eくんの体調の微妙な変化に合わせる彼女の対応を目の当たりにして衝撃を受けました。ゆったりと奏でるメロデーで、まるで痛みを緩和しているかのよう。医者以上にトータルに子どもを診ている印象です。
そんなMariさんの様子を見て、
これだ!この寄り添い。子どもをよく観察すること。子どもから学び気づくこと。
子どもの前でどうあるべきなのか。
大きな大きなヒント、大切なことに気づかせてくれました。
それはそのままSHJの理念となっています。
そんなわけで、Mariさんは立ち上げの頃からずっと頼りにしているメンバーの一人です。
Eくんのお母さんはといえば、忙しい子育て中に時間を作り、活動のアシスタントボランティアとしてSHJに参加しています。
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