シンガーソングライターでフォークジャズピアニストの石橋和子さんと、練馬区のHさん宅を訪問しました。指先一つのわずかな動きでパソコンを操作し、ネットサーフィンを楽しむHさんは、音楽の造詣も深く、今日も楽しみに待っていてくれました。
日本の唱歌からジャズ、シャンソンまで、変化に富んだ季節の音楽満載のプライベートリサイタル。
まずは秋の代表的な唱歌、「もみじ」。
秋の夕日に照る山もみじ
濃いも薄いも数ある中に
松をいろどる楓や蔦は
山のふもとのすそもよう
溪(たに)の流れに散り浮くもみじ
波にゆられて はなれて寄って
赤や黄色の色さまざまに
水の上にも織る錦
詩の意味を教えてください、というHさんのリクエストに、石橋さんの解説は優しく美しい。
夕日が照らす山々の裾野に、
常緑樹の松に混ざって楓や蔦の赤黄が
様々な濃淡で色を添え美しい模様を作ります。
山の間を縫う渓流に落ちた紅葉が、
流れに揺られてついたり離れたり。
水の上に作られるのは輝く赤黄のつづれ織り。
黄金色に輝く水面に、赤や黄色の葉のモチーフが織りなすさまは、まるで錦の帯。
自然の創り出す壮大なアートを思い浮かべ、胸が熱くなりました。
次は「枯葉」をシャンソンで。
歌詞の中にはred, goldとやはり黄金色に染まるautumn leavesのフレーズが出てきます。
ただしこちらは枯葉を思い出として例える失恋の歌。
続けて“What a Wonderful World”をジャズバラードで。
戦争を嘆き、平和を夢見て作られたこの曲。
自然が織りなすアートをたたえるようなフレーズの後に、
赤ん坊が泣くのを聞いたり、成長してゆくのを見る
彼らはわたしよりも遥かに多くのことを学び、知ってゆくだろう
というくだりがあります。
自然の営みと子どもの素晴らしさが重なる・・共感に胸が震えます。
そして中島みゆきの「糸」。
縦糸はあなた 横糸は私
縦と横で織りなす布で誰かを温め、誰かの傷をかばうかもしれない
出会うべき人に出会うことを人は幸せと呼ぶ
その出会いが他の人を幸せにできたら、どんなに素敵な世界になるでしょう
人と人との出会いがつづれ織りとなって、世界を温かくつつみこんでいけたら・・・
秋の夜長、石橋さんの演奏を浮かべながら、しみじみと思いふけっています。
“I think to myself….what a wonderful world!”
Smiling Hospital Japan Official Website