「命の道のりは永遠。今、荷物を持って生きることには必ず意味がある」
熊本市在住のシンガーソングライター、樋口了一さんが作成した同市立平成さくら支援学校の校歌の一節です。
子どもの頃にビートルズに憧れ、29歳で歌手デビュー。テレビ番組の主題歌などを歌い活躍するも、デビューわずか2年後にパーキンソン病を発病、ギターも弾きにくく、声もスムーズに出なくなってしまい、無念の引退を考えたといいます。
しかし、中島みゆき作詞作曲、吉田拓郎が歌う「永遠の嘘をついてくれ」の歌詞に勇気をもらって闘病しながら音楽活動を続ける決意をした樋口さん。
「一度は夢を見せてくれた君じゃないか」
無償でライブを続けるようになったのは、
「完璧なコンディションじゃなくても思いが届けばそれでいい」と考えるようになったから。
「障がいや病気、衰えによって伝えたいことが表現できなくても、その人の人生が損なわれることはない」
回り道をしたからこそ、子どもたちに伝えられることがある、と。
~「生きること 必ず意味がある」支援学校へ送る言葉~ 11/23東京新聞朝刊掲載記事より
苦労や挫折を重ね、困難を抱えながらの表現活動。
その姿こそが子どもたちや多くの不自由を抱える人たちに勇気と共感とプレゼントしてくれるのだと思います。
「荷物を持って生きる」
自分にとっての荷物・・それは外傷による後遺症。
忘れてしまうほどに回復していたのに、再び痛みが頭をもたげるようになった私の荷物。
戒めのようにも思える。初心を忘れるな、と。
「荷物を持って生きることには必ず意味がある」
不自由とともに生活する人の身になって考え、行動するためのプレゼントなのかもしれない。
こんなちっぽけな荷物くらいで・・。
そう思うと、自分の小ささが嫌になり、もっと頑張る勇気が湧いてくる。
障がいを持って生きる人たち、病気と闘う人たち、幼くして難病と闘う子どもたちやその家族・・・
そんな人たちへの尊敬の念が自然に湧いてくる。