先日たまたま、電車の中で盲の方と支援員が音楽の話をしている前の席に座りました。
リストやショパンの話で盛り上がっていて楽器は持っていないから、もしかしたらピアノを弾く方かな。と想像していたところ、会話の中でふと取り出したのは点字のノート。
真っ白でつるっとした厚紙に並ぶドット。
何が書いてあるのかはもちろんわからないけど、音楽家だから楽譜かな。
双子の姉妹でよく連弾をすると話していました。
「双子だからって、打ち合わせもなしで息ぴったりというわけじゃないんですよ」
と話す時のいたずらっぽい笑みがとても素敵で印象に残りました。
全盲であること。それだけで大変な苦労とバリアの中で生活しているはずなのに、この人のきらきらした輝きはどこから来るのだろう。
失礼とは思ったけれど、つい見とれてしまいました。
障がいのある人が、不自由のない人を基準として作られた社会で生きる、そんな姿を目にすると、それだけで圧倒されます。
しかもこの方はそれが当たり前であるかのように爽やかに現実と向き合っている。
困難なく生活する人にはない工夫を日々、駆使しながら生きる知恵。
社会の無理解や差別的な言動という理不尽さに向き合う勇気。
さらに、自由を当たり前のように生きる人への包容力まで併せ持っているかのようなオーラがあります。
とてつもない尊敬の念が込み上げます。
生活の上で物理的、精神的な支援を受けている方たちを思うと、私などはいかに甘えを持って生きているのかを教えてくれます。