つれづれにっき〜スマイリングな日々〜

 〜素敵な「心」の話〜

朗読家の川島さんが、ボランティア活動に行く途中である小学生に助けられたことについて、川島さんのアシスタントが小学校に感謝を込めてお手紙を代筆したことを昨日知りました。

その小学生は通っている小学校の6年生であることのみ、名前もわからないまま別れてしまったため、たった一つの手がかりである学校へ手紙を書こうと、川島さんに提案したそうです。

この少女の温かい気持ちと行動力、そしてその時川島さんがとても助けられ幸せな気持ちになったこと、これだけでも心温まる出来事です。

しかしその上アシスタントの提案により綴られた手紙の内容が学校のお便りで紹介され、心ある行為を同じ小学校の生徒たち、先生たちに知ってもらうことができた、それを知った人の中には自分も!という気持ちを持った人も多かったのではないかと思います。

さらにそれぞれの家庭で話題になっただろうと思うと、たった一人の少女の勇気が多くの人の心にぽっと一つ明かりを灯した気がします。もっとも、この女の子には勇気なんかなくたって当たり前にした行為だったでしょう。でも、

「あの人、困ってるかも知れない」

と思っても行動に移すとなると、やはり「勇気」というものが必要なもの。特に小学校高学年ともなるとだんだん照れが出てしまうかもしれません。

そんな素敵な「心」の話を、小学校のお便りからここに引用させていただきます。

この間、私は、慣れない道を歩いていました。この道は時たま歩くのですが、一人の時は心細くなってしまうのです。細い一本道です。まっすぐ歩いていけば、そのまま駅へと繋がることはわかっているのです。でも、点字ブロックは無いし、横断歩道には音の信号機はありません。車道を自転車はひっきりなしに通っていますが、歩道には人はほとんど通らず、自転車が時たますり抜けていくだけです。

実は私は少し前に電柱にぶつかり、怪我をしてしまいました。それでぶつかっても怪我にならないように帽子をかぶり、さらに念を入れて日傘までさして歩いていたのです。

そんな私が、不安そうに歩いているように見えたのでしょう。

「私、高井戸駅の近くまで行きますけど」と声をかけてくれた女の子がいました。一度、自転車で私を通り越して、心配してわざわざ戻ってきてくれたようです。

「一人だったらびゅーんって行けるのに、ごめんなさいね」

自転車を押す女の子のハンドルをもたせてもらい、一緒に歩きながら会話が始まりました。

「大丈夫です。私、今、暇ですから」

と明るい声が返ってきます。

彼女は小学校の6年生、ちょうど春休みなのだと言います。私は一緒に歩いてもらえるので安心して日傘を閉じながら、

「これはぶつかっても怪我しないための対策なの」

と言い訳みたいなことを言ってしまいました。

その子は少し感心したように、

「へえ、工夫ですね」

と言ってくれました。そんな風に言われてちょっと照れてしまいました。

この道は歩く人がほとんど通らないから、とても心細かったこと、信号もわからないし、声をかけてもらえて本当に嬉しかったことを伝えると、

「いつでも言ってくださいね。私一緒に行きますから」と弾むように言ってくれます

そして最後に大きな声で「ありがとうございました」と言ってくれました。本当に本当に嬉しくてありがたい気持ちでいっぱいになりました。ありがとうは私の方なのに。

二人でありがとうを言い合って握手をしてお別れしました。

春風と共にあらわれた、あたたかな陽だまりのような女の子でした。そして私の心には、あの時の陽だまりみたいな温かさが今も残っています。

  

   少女の温かい心

   川島さんの素直な心

   アシスタントの正義感

読んだ人の心を動かし勇気を与えるだけでなく、社会が抱える問題点を改めて思い、行動することを促すような連携プレー。

その火付け役はこの少女。

人と人が繋がることの意味をしみじみと感じた出来事。また一つ子どもから教わりました。

🌷 🌷 🌷 🌷 🌷

この少女は学校で「誰ですか」

と聞かれても「ふふん」と受け流して手をあげることもなかったんだろうな。

そんな気がします。