夏休みを利用して、気になっていた症状を診てもらいに通院する子どもは多いものです。
検査の結果、入院治療が必要と判断した子に、医師としてある一定期間病院にいなくてはならないことを告げるのは辛いものでしょう。
小児科医になったということは、子どもが大好きに違いない。悲しむ顔を見るのは何より心が痛むだろうなあ、と感じます。
そんなとき、入院生活が苦痛だけではなく、楽しいことだってある、という要素を並べて、なんとか子どもの落胆を最小限に食い止めたいもの。
とくに仲間から離れ、しばらく会えないことが一番つらい時期、院内学級があることは大きな切り札となります。
でも基本1か月以上の入院が見込まれる場合のみ、学籍を移し院内学級で活動することが可能となります。
その転校の基準を知らないお医者さん、 うっかり
「院内学級があるから退屈しないよ」
なんて言おうものなら、子どもも家庭もホッとするものです。
病気のことはもちろん、学校や友達など、生活の全てが一転してしまうことへの不安は同じように重くのしかかるものだからです。
しかし、一旦学級に問い合わせてみると、入院期間が足りず、残念な思いをする家庭もいます。
そもそも、なぜ複数の学籍を持ってはいけないの?
学籍異動の手続きは煩雑で、数日の違いで不公平も生じるし、入院期間なんて、最初の医師の見立てが変わる場合だってある。
そろそろ堅いことを抜きにして、入院したら即2つの居場所を子どもにプレゼントしましょうよ。
せっかくの夏休み、院内学級の夏季登校日の行事にだって参加できる。
成績は現在授業を受けている学校がつける、相談内容に応じた窓口を決めておく、くらいの当たり前の共通認識があれば問題ないように思います。
子どもにとっては、
🌀どちらにも籍を置けたら今までの仲間との絆はそのままだからさびしくない
🌀入院したその日から新しい仲間づくりができる
🌀退院して復学するときの心配も少なくて済む
などのメリットがあります。
教員にとっては、
🌀手続きがシンプルで余計な事務仕事が減る
🌀すぐに子どもとの関係づくりに取り組める
というメリットが。
ひとりの子どもを同時に見守り支援する人が増えるということになります。
本人も家庭も教員も、ひとりひとりが余裕を持って温かくその子に寄り添えそうです。
もっとも、地域によっては1ヶ月以内の入院なら学籍を異動しなくても院内学級で活動ができるところもあります。
そうであれば、仮に退院が延びたとしても、途中で手続きするわけだから、少なくとも時間のロスは避けられます。
いずれにしても、日本の教育現場では、なにか違うことを行おうとすると、「校長の許可」「教育委員会の許可」という段階を経る必要があったり、往々にして「前例がない」などという理由で却下されることが多いもの。
ちゃんと子どもと家族に向き合ってこそ、
特別支援なんじゃないの?