研修会を振り返って~3~
スマイリングホスピタルジャパンは
病棟を訪問するのが主な活動です。
対象は、赤ちゃんから
小児の頃からかかってる成人の方まで
小児病棟といってもその年齢の幅は広いのです。
赤ちゃんのいる病棟も多く、
アーティストは赤ちゃんにどんな風に接し
アレンジすればいいか悩むのが正直なところでしょう。
もちろんお母さんが笑顔になることで子供は安心しますから
付き添うお母さん向けの音楽ももちろん喜ばれますし
そもそも赤ちゃんだって質の高い芸術への反応は素晴らしく
赤ちゃんだから・・
と特別なメニューは必要ないくらい鋭い感性を持っていると思っています。
とはいっても、やはり患者さんである
乳幼児期の子どもへの音楽的効果や
アプローチの仕方を知っておくことは
活動の幅や質に大きく影響を与えるものでしょう。
そんな観点から、
ドラムサークルファシリテータでHappy Beat代表、
SHJ愛知地区コーディネータでもある
箕浦恭代さんが
「赤ちゃんと音楽の不思議~乳幼児期の音楽性の発達からみる、ヒトの基本デザイン~」
というテーマで講義をされました。

アメリカ生まれの
乳幼児期のお子さんとその保護者のための音楽とムーブメント(身体の動き)のプログラム
「Music Together」の講師であり、
現在現役で活動している日本の講師でいちばんのキャリアを持つ
日本でただ一人の最上級認定講師という肩書きを持つ箕浦さん。
もともとドラムサークルファシリテータとして、障がいのある人や高齢者など様々な人たちと音楽づくりの場を持つ経験から、
乳幼児期の子どもの音楽的発達を知ることがヒトにとって音楽がどういう役割を果たすのかを知ることになる
と気づいたと言います。
研修会には音楽を始めありとあらゆるジャンルのアーティストが集まりますが、
この講義は音楽系のアーティスト以外にも役立つ知識でありまた
子育て中のアーティストも多いことから
多角的に運用できる内容でした。
要所要所にワークショップを交えた講義は
SHJが大切にしている「参加型」そのまま。
音楽的な発達として、
誰もが生まれつき音楽的な素質を持っていて
音楽性の習得は、言語のそれと同じような段階的な発達を遂げるといいます。
子どもの頃の環境がその後の音楽能力の到達レベルやその人の音楽性の表出に大きく影響する・・
さらに
母語の習得に臨界期(5歳を境にその習得能力が下がる)があるように
音楽的能力にも同じことが言える・・
というから
天才と言われる音楽家の多くが幼少期から能力開発を施されていることも頷けます。
これほど音楽が好きで
日頃から何が楽器ができたらどんなに素敵だろうと思っている自分としては
空き地に野放しにされることなくお稽古に通わせてくれていたら・・
などと思ってしまいます。
しかし
やはり生まれつきの才能や環境には同じくらい左右されるはず・・
などと、さらに言い訳が続きます。
幼児期の音楽性の発達が、以降の発達の礎となるべく
様々な他の領域の発達の助けとなるということがまとめとして話されました。
ヒトは「どこに生まれても適応できる」ような状態で生まれる
というくだり、
乳幼児期の生活や教育に
芸術に触れ主体的に味わえるような環境を
まわりの大人が作ることで
その人の人生の豊かさそのものに
大きな影響を与えるような気がします。
モンテッソーリ教育の理念とも重なり
深く納得する講義でした。