前回に続きインクルーシブ教育について書きます。
理念先走りで定着できずにいる
日本のインクルージョンの実態を知りたい
と思ったのです。
それほど、ふつうに暮らしていると
見えてこないことって多いんだな、と感じます。
改めて当事者の視点が
国を暮らしやすく豊かにすることに
合点がいき、
新参院議員 木村氏の提唱の重みを感じます。
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平成19年4月、
教員になって3年目でしたが
東京都では
特別支援学校の生徒と近隣の普通校の生徒が
交流する趣旨の「副籍制度」というのができました。
これはまさにインクルージョンへの布石だったと言えるかもしれません。
→2017/10/3投稿「副籍制度、機能してる?」
東京都では副籍、埼玉県では支援籍、
また横浜市では副学籍と呼びますが
ここでは東京都について書きます。
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文科省サイトによると、
副籍制度の定義は、
「都立特別支援学校小・中学部在籍の児童生徒が、居住地域の小・中学校に副次的な籍をもち、直接交流(※1)や間接交流(※2)を通じて、居住地域とのつながりの維持・継続を図る制度」
※1:小・中学校の学校行事や地域行事等における交流、小・中学校の学習活動への参加等
※2:学校・学級便りの交換、作品・手紙の交換、地域情報の提供等
です。
その目的は、
✔︎障害のない子どもは、「心のバリアフリー」を育む。
✔︎障害のある子どもは、「社会で自立できる自信と力」を育む。特に特別支援学校に在籍する子どもは、地域との関係を深める。
と示されています。
特別支援学校(病弱)現職の頃、
その手続きに時間がかかること、
実際運用するのは双方の連携が煩雑でままならなかったこと
などを痛感した覚えがあります。
実施していても学校便りなどの交換など
「間接的な交流」があったくらいです。
地域学校での学習参加を行った小学生のケースがありましたが
継続には至りませんでした。
実態はどうなんだろうと、サイトを読み進めると
その実施率が載っていました。
- 平成19年度 29.4%(小・中学部)
- 平成20年度 39.9%(小・中学部)
- 平成21年度 38.0%(小・中学部)
とても残念なことに
このサイトでは21年度までの統計しか見つかりませんでした。
→文部科学省ホームページ資料6
を見ても情報がアップデートされていない、
または情報がないのかな、という印象。
「交流事例&アイデア集」が載っているけれど、
これも平成27年度までに発行されたのが
紹介されているくらい。
副籍制度とは・・
というフライヤーのようなものを見つけましたが
発行元不明のPDF。
限定された地域での調査結果や
個人のブログなどで制度への疑問を投げかけているものは
たくさんありました・・。
制度の形骸化を垣間見た気がします。
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1994年(平成6年)にサマランカで開かれた
「特別なニーズ教育に関する世界会議」で
障害の有無に関わらず、ともに学ぶ仕組み
「インクルージブ教育」
が打ち出され(サマランカ宣言)ました。
さらに
2006年(平成18年)には
国際連合において
「障害のある人たちの権利に関する条約」が提唱されました。
2007年度(19年度)実施の「副籍制度」は
これを受けてのものだというのは明らかです。
インクルージブへの繋ぎ、という印象です。
この制度の定着が見られないなか、
2010年(平成22年)に文科省により
「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」
が開かれ、インクルージブ教育理念の方向性が示されました。
そして
2012年(平成24年)には文科省の中央教育審議会で
「共生社会の形成に向けたインクルージブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」
→前回投稿「インクルージブ教育」参照
が提唱されるに至りました。
この中で
💫環境整備
💫合理的配慮
💫学校間連携
というキーワードが光ります。
やっとインクルージョンの夜明けか!というタイミング。
さらに
2016年(平成28年)の
「障害者差別解消法・障害者差別禁止法」施行をみます。
キーワードに見られる理念の反面
停滞している理由は
巷の人権意識の壁でしょうか。
木村氏がリーダーとなり、改革していってほしい。
そして
意識改革には長い時間がかかるかもしれませんが
諦めずに
地道に個人レベルでも話題にしていく必要性を感じます。