月に一度は山や川へと自然を求め出かける我が家にとっても
移動手段である車は必須。
いっぽう
昨年高齢を理由に義母は愛車を処分し、
免許を返上しました。
そんな母の趣味は俳句。
先日句会の会場に夫と迎えに行った時に感じたのは
運転席や助手席についているアシストグリップの重要性です。
フロントガラスを支える支柱部分を
「Aピラー」というそうですが
アシストグリップはここに付いていて
母は必ずここをつかんで体を座席に移します。
障害のある方などは
車椅子から運転席に乗り移る時
手でつかんで体を持ち上げるための補助器具となります。
高齢者や障害のある人にとって
このグリップがなくては
車への移乗はとても困難です。
ところが昨年秋から
自動車の運転に必要な直接視界に係る協定規則というのが変わり、
このグリップを含む
「運転者の視界を妨げる遮蔽物の設置を禁止する」
という基準が設けられたと知りました。
ー 自動車の運転に必要な直接視界に係る協定規則 ー
「乗用車の運転者席について、運転者席から前方の一定範囲における視界を妨げる遮蔽物の設置を禁止するなどの基準の変更を行います」
というもの。
→国土交通省ホームページ自動車の運転に必要な直接視界に係る協定規則等の採用に伴う道路運送車両の保安基準等の一部改正について (発表平成25年11月12日)
適用時期は、
新型車で平成28年11月1日
継続生産車で平成30年11月1日
参考:自動車の運転に必要な直接視界に係る協定規則(第125号)
障害に合わせた改造は
道路運送車両の保安基準に合わなければ
車検が通らず、自由にというわけにはいかないけれども
少なくともこの補助グリップは基本仕様であるべきです。
移乗が困難な人にとってはこのグリップがあることで
利便性や安全性が全く違うからです。
グリップがAピラーからはみ出さなければ、
つまり視界を妨げなければ良いということですが、
そもそもこのグリップの存在が事故につながったというのは
聞いたことがありません。
このような新規制の背景は
「自動車の安全性の向上及び国際的な基準調和の観点」
とありますが、一体誰にとって安全なのか
と首をかしげます。
グローバリズムにおもねる決断かと
つい色眼鏡をかけてしまいます。
いずれにしても
障害のある人が運転できなくなるような規制の変更は
障害者差別解消法に反するし
合理的配慮と真逆の発想です。
テクノロジーが
困難を抱える人の自己実現を支えているのと同じように
車という自由な移動手段は
障がい者の行きたい場所へのアクセスを可能にし
人生を切り開くものです。
やっと自由の翼を手に入れたというのに
この国際基準により
古くなった車の買い替えが迫られた時に
この翼はもがれてしまうのか・・・
自動運転も良いけれど
もっと
”今ここ”
”この方達にこそ”
のニーズに寄り添う基準設定に
目を向けてほしいと強く思います。