「感染者個人に責任を負わせることは、倫理的に受け入れがたい」
日本医学会連合の緊急声明に大きく頷いたものだ。
政府の感染症改正法案で
感染者への刑事罰が盛り込まれた際のこと。
患者が入院先から無断で外出し温泉に行ったり
宿泊療養中に出歩いたりした例をあげ
行動の制約を罰則をもって強めようという考え方だ。
確かに病院を抜け出して温泉へ!
というニュースを耳にした時はたまげたものだが
しかしこれらの患者が感染を広げたという
科学的な根拠はないという。
また類似の事例が他にあったのかも
調査・集計していないという。
そもそも感染してしまったこと自体が
本人にとっては災難である。
感染者が入院できなくなっているほど
医療の逼迫がある中での発想だから
ちょっと、何を言っているのかわからない域だ。
感染者は
上から目線で罰したい人たちのターゲットなのか。
注意がたりない、自己責任だ!
といういじめにしか見えない。
「罰されることを恐れて検査を受けなかったり
結果を言わなかったりする恐れがあり
感染抑止がかえって困難になる」
という医学会の指摘にも同感だ。
・・・・・
と、昨日1月28日、
入院措置を拒んだ患者への刑事罰を
懲役刑、罰金刑含め全面的に撤回し
前科がつかない行政罰の過料に見直すことに
与野党が合意したそうだ。
今日、審議入りして来月初めに成立するという。
懲役刑なんてあり得ない!
と怒りを感じていたところ協議をしっかりと重ねた結果が出て
ほんの少しホッとした。
しかし、結局罰するのね・・・
としっくりはいかない。
強制隔離政策が
ハンセン病患者に対するいわれのない差別や偏見を引き起こした
という過去の反省を忘れてはならない。
感染した個人へ責任を負わせるということは
当事者への差別や偏見を生み
過ちを繰り返すことになりそうで怖い。
・・・・・
感染症患者へ罰を!
短絡的で幼稚な発想ではないか?
うっかり忘れ物をした児童に
「罰として廊下で立っていなさい」
というのに近いと感じる。
政府には科学的根拠を示し
わかりやすく説明すること
誠実に理解を求めることに神経を使って欲しい。
しっかりとしたリーダーシップとそれに対する安心感や
確固たる信頼関係があればさらに良い。
専門家の見解をもとにした説得力のある
心のこもった強いメッセージがあれば
一人ひとりが自覚を持って
周りのために自分のために
適切な行動をとるだろうと
そう思う。
罰則など不要だ。
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