損害賠償、前進へ
今年7月3日、
最高裁判所大法廷は
1948年に旧優生保護法に基づいて実施された
強制不妊手術に関する国家賠償請求訴訟の
５件の上告審において
国に対して被害者への損害賠償の支払いを命じた。
日本弁護士連合会声明より
特定の疾病や障害を有する者等を対象とする
旧優生保護法の不妊手術に関する規定は、
個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反する上、
差別的なものであり、
憲法第13条
すべて国民は、個人として尊重される。 生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする
及び
第14条第1項
すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない
に違反するものであったことを認め、
同規定の立法行為は違法であったと判断した。
——–
長期間にわたり国家の政策として
多数の障害のある者等を差別して
不妊手術という重大な人権侵害を行った
国の責任は極めて重大で
正義・公平の理念に著しく反し、
到底認めることはできないと判断した。
———
不良な子孫の出生を防止することを目的とした
この法律により
1996年に母体保護法に改正されるまでの間
障害のある人に対して、
不妊手術
約2万5000件
人工妊娠中絶
約5万9000件
合計約8万4000件もの手術が実施された。
戦後最大規模の重大な人権侵害である。
———
国は、本判決を尊重し、
旧優生保護法による被害の全面的回復に向けて
大きく舵を切らなければならない。
日本弁護士連合会声明より抜粋の上
松本なりの要約と
憲法第13条、
第14条第1項
の内容を追加しました。
戦後最大規模の重大な人権侵害
やっとだ。
1948年に制定されたこの法律は
1996年まで続いた。
この50年近くにわたり
多くの人が国の勝手な政策により
人権を蔑ろにされてきた。
そして謝罪も保障もないまま至った。
「旧優生保護法」と「新出生前診断」
ところで
「旧優生保護法」と「新出生前診断」
これは同じく
命の選別
に関わる人権問題として
同時に議論されるべき課題だと常々思っている。
ブログでも再三テーマにしてきた。
「旧優生保護法」とは
知的障害や精神疾患、遺伝性疾患などを理由に
本人の同意がなくても不妊手術を認めた法律（1948~1996)。
「出生前診断」とは
胎児の遺伝子に異常があるかどうか出生前に診断を行うこと。
「生まれてくる子どものことを知る」
「その後の生活への心構えを持つ」
のが目的だそうだが
胎児に疾患があるか診断することの意味は
「旧優生保護法」に限りなく近い
「不良な子孫の出生を防止すること」
という目的が透けて見えないだろうか。
さらに重大な弊害は
母親に産む産まないの大きな決断を迫ること。
これについても大きな人権侵害だと思っている。
命の選別という名の違和感
この２つの共通点は
「命の選別」。
旧優生保護法が非人道的措置であることは明らかで
批判の的になっていた中
やっと国はその非を認めた。
しかし並行して
新出生前診断についても
差別意識が根底にある安易な命の選別につながる
という批判がありながらも
診断のさらなる普及を目指す流れに
大変な違和感を持つのだ。
命そのものに関わる人権問題として同じテーブルに乗せ
議論されるべきテーマだと繰り返し言いたい。
疑問を投げ続けたい
さらに加えたい。
戦後の混乱期における人口増加阻止が
その目的の一つだった
というこの旧優生保護法が
1996年に母体保護法に改められ
「不良な子孫の出生を防止する」
という目的が削除されたのにも
人口問題が絡んでいるというのを
先日ドキュメンタリー映像で見た。
最近の出生前診断を広める動きは
その延長線上にないだろうか、
国には一体どんな思惑があるのだろうかと。
しかし
そんなことを
口にする人は誰一人見当たらない。
自分はよっぽど
世の中に対して批判的で
へそまがりな性格なのだろうか。
それでも
私は疑問を投げ続けていきたい。
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