学園祭の秋。
都立特別支援学校の学習発表会に行きました。
毎年見学していますが、SHJを始めてから重心の子どもたちへの関わり方に団体としての課題が高まっているせいか、
子どもの実態に則した教員の動きが自然と見学のポイントになりました。
印象に残ったのが、
「方法を工夫さえすれば全ての人が学びを深め、自分の世界を広げていける」
という理念を教員同士が共有しながら困難さに寄り添う関わりを徹底しているグループの発表です。
このグループは最重度と言われる重症心身障がいの高校生のクラスです。
生徒自ら学べる環境を作るため、教員は本人とやりとりしながら一人ひとりをよく観察します。そして身体のどの場所が意図的に動かせるのかを見極めます。
その自発的な動きで最大限意思を表出できるよう、音声出力補助装置VOCA*や、一つのスイッチのオンオフでパソコンを操作できるよう工夫した支援機器、
働きかけながら目と手の協応を引き出す教材教具、
そして始点と終点がはっきりしていて自分の手の動きに対して明確なフィードバックがある教材
を作成し使用している日頃の授業の様子を発表していました。
とかく見た目で「わからないだろう」と思われがちの重心の方たち。
正直なところ、SHJの活動でも、アーティストたちは、
「見えているのかな」
「聞こえているのかな」
「言葉を理解しているのかな」
・・・・・・
とわからないことだらけでした。
院内学級にいた私も、特別支援学校の教員でありながら教科指導をしていたこともあり、重症心身障がいの子どもたちとの関わり方にいつも戸惑っていました。
特別支援学校教員免許を取った時に勉強したはずなのに、その内容は何一つ活かせない。
目の前の子どもの力を引き出せない非力さ・・申し訳ない気持ちを教員を辞めるまで引きずりました。
ところがこのグループの実践は環境さえ整えばできないことは何もない、という考え方のもと、生徒たちに寄り添います。
そうだったのか。これまでの自分の無能さにハンマーで頭を叩かれたくらいの衝撃と、安堵が。
今年の3月のSHJ全国研修・交流会にて講演を依頼したのが、この方法を実践している特別支援学校の教員でした。
その内容が、ベッドサイドでの活動に活かせる!と、反響が多かったことから冊子にまとめました。
今ではSHJのアーティスト、アシスタントが、活動場所までの道中ヒントを再確認している、ハンディでいつでも手にとれて便利、と活用しています。
重症心身障がい児者と関わる現場や普段の生活の中で触れ合う機会に大変役立つヒント満載で、全国から送って欲しいという依頼が続いています。
ご希望、お問い合わせは事務局まで。
毎年、とても勉強になる学習発表会。
学びの秋。生徒たちの学びへの意欲が爽やかな気持ちにさせてくれます。
来年も楽しみです。
VOCA = Voice Output Communication Aid 「音声を出力するコミュニケーション機器」ビッグマックなど声を録音してスイッチで再生できる機械や、トーキングエイドなど発話機能がある機器を指す。
Smiling Hospital Japan 事務局アドレス info@smilinghpj.org
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