そろそろ文章にしてみても・・
あの頃があったから今があるんだもの。
そんな思いで、18年前を思い出しています。
これも年齢のせいかな・・。
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ぼんやりとした人の顔が覗き込む。
白いマスクが浮き立つ。
現れてはまた消え、足音か電子音か、何か無機質な音が耳に残る。
真っ白い天井にほの明るいラインが規則的に並ぶ。
話し声のようなものがときおり遠くで聞こえてほっとする。
こんな状態が3日間も続いたろうか。
2000年6月20日。
この日の記憶は午前6:20まで。
早朝の交通ニュースは、駒沢通りで起こった事故、それに伴う停電や渋滞を伝えていたという。
通学準備中の長女と長男の目に飛び込んできた悲惨な現場。
「見ちゃダメ!」
画面は消された。
事態を察した近所の奥さんが駆けつけてくれ、二人の世話をしてくれていたとしばらく経ってから聞いた。
病院からの連絡を受けて、両親、兄弟が救命救急センターの待合室に集められた。
担当医師の説明に泣き崩れた家族。
センターの奥の方で横たわる私は一回りもふた回りも小さく見えた、と後になって母が話してくれた。
「××さん、奇跡が起こった。肺からの出血が治まってきたよ!」
命を取り留めたことを、覗き込みながら息も荒く伝えてくれた担当救命医の満面の笑顔は、今もはっきりと脳裏に焼き付いている。
この後は少しずつだが順調に回復し、手術を受ける体制も整い、救命センター、ICUを経て整形外科へ移動することになった。
手術が終わりタイミングよく届いたのは、仕上げて提出していた文芸英訳の下訳が製本されたもの。
“Walk in the Woods” Bill Bryson
ビル・ブライソンの究極のアウトドア体験―北米アパラチア自然歩道を行くー 千名 紀=訳
やっと生きている実感がつかめたような瞬間だった。
喜びとともに、時間は何事もないかのように流れていくことを確認した。
無常でもあり無情でもある。
「日にちぐすり」とは言い得て妙。