6月20日という日
今日、6月20日は
生きている実感すら
叶うはずのない
自分の身体に降りかかった
24年前の出来事を思う日。
そして
今、ここに
自分が存在している奇跡に
感謝する日が
毎年6月20日。
生の輪郭
あの日、
一度落としかけたいのちが
その後数日、
ここでないどこかで
彷徨い続けていた。
存在していること
時間が流れていることの感覚がない
空白の日々。
何時間、いえ、
何日経ってからだったのだろう。
目がふわり、ぼんやりと開き
天井の灯りらしき光が少しずつ
輪郭を取り戻していた。
「助かったよ！
肺からの出血が止まったんだ！」
と言いながら満面に笑みをたたえた
白衣の男性の顔と
優しくしかし弾んだ声によって
その時初めて
自分が病院のベッドに横たわっていることを
知った。
このあたりのことは
拙著「夢中になれる小児病棟」英治出版
第１章「患者になってわかったこと」
第一節〜私が患者になった日〜
に書いている。
感謝と、そして自分、頑張ったね！
あの頃自分では意識していなかった
”まだやるべきこと”
があの時にすでに用意されていたかのように
大切なひとや家族の心が一つになって
大きな力となって
私をこの世に引き留めてくれた。
医療の力と
家族、両親、きょうだい、友人の愛に
感謝するばかりだ。
数年で社会復帰して
院内学級の教員として７年間働き、
現在の活動を始めたのが
今から12年前。
そのころは
事故の後遺症も
忘れるくらいに回復していたが
年を重ねるごとに
段々と痛み疼き痺れが蘇る。
仕方がない。
身体の形が変わってしまったのだから。
生きよう生きようと必死に
動き続けた呼吸器、
一生懸命繋がろうとして頑張った
たくさんの骨たち。
改めて
頑張ったね！
一日一生を思う6月20日
24年前の自分を労いながら
今こうして
やっぱり
痛みと不便さと一緒に生きている。
何事もなかったかのように
不自由なく生活できていた
これまでの20年こそ
奇跡なのかもしれない。
痛みが
生死の境を彷徨い
度重なる手術と
機能回復訓練の日々を
思い出させる。
医療の偉大さと
必死に命を繋ぎ止めてくれた医師たちを思うと
自然に
長期入院を余儀なくされ
毎日懸命に治療を受ける子どもたちに
思いが及ぶ。
そして
ちっぽけなわたしにも彼らのために
できることがあると
日々もがく自分がいる。
あの時落としていたかもしれない「いのち」を
ありがたく大切に
一日一生の思いで
生きていく、
そう誓う6月20日だ。
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