つれづれにっき〜スマイリングな日々〜

〜バルーンのちから〜

剣、お花、動物・・好きなものをバルーンで作ってもらう時の子どもの顔はキラキラの笑顔。「早くちょうだ~い」とばかりに目はバルーンみたいにまんまるです。

そして病棟のプレイルームに数人集まるとバルーン教室が始まります。

まず長~く膨らませてもらったバルーンをねじるところから始まります。

おっかなびっくり、恐るおそるひねるけど、怖さが先に立ってなんとも頼りない力の入れよう。

少しでも力を入れたら「ばーん!」と大切な風船が割れてしまうんじゃないかという心配が先に立ちます。

「大人が怖がったら子どもはもっと怖がるよ」

とアーティストは言うけれど、子どもも大人もやっぱり怖い。

勇気を出して!

少しずつ慣れてくると、

「あれ?結構風船て強いんだ」

と、私たちの気持ちを汲んで割れにくいバルーンを用意してくれているアーティストは大人にだけウインク。

ね?大丈夫でしょう(^_−)−☆?

少し安心した子どもたちは、それからはアーティストの手の動きを見よう見まねで一生懸命形を作っていきます。

自分で作ったバルーン。得意な気持ちを抑えきれずに、にっこりピース!

アースデイでブースの飾りにアーティストが作ってくれた「スマホジくん」は、1週間経ってもまだまだしぼまずにニコニコしてくれています。

これと一緒に事務所に持ち帰った風船。

1つは透明な風船の中にハートが3つ。

2つ目はやはり透明な風船の中に青いスマイルの風船。

そして3つめは透明な風船の中に地球儀バルーンが入っていて、小学校に上がった孫がとても気に入って握りしめていたけど・・。

この3つはヘリウムが入っていて、重りをつけないと天井まで浮いてしまいます。重りを外してジャンプしながら手を伸ばしたり、地球儀を覗いて日本はどこかな・・とさすが地図好きの彼。

ひとしきりはしゃぎ遊んだ後、風船は天井に張り付き、ちびっこたちの攻撃を逃れ、やれやれとしばしおやすみモード。

この日は穏やかだった連休前半と違って春の強風が吹き始めていました。ふと開けた玄関の扉から、チャンスを狙っていたとばかりに、地球儀風船は、それはそれはしなやかにすうーっと空高く飛んで行きました。

その時の孫の絶望的な顔は、

「なぜ?」

・・中に空気より軽いヘリウムという気体が入っていてね・・

なんて理屈はどうでもいい。

誰が悪いわけでもない、短い時間だったけど、とびきりの経験、本当に楽しかったね。

いつかはしぼむ風船。

力を失って床にへたり込んだ風船をゴミ箱に無下に捨てることになるより、短い時間だったけど、うんと楽しませてくれた「僕のバルーン」が元気いっぱい飛んで行った姿の方が幼心にいつまでも残る、そして優しい気持ちになれる楽しい思い出になっと確信します。

涙を流して悲しんだけど、納得した後の頬はすっかり乾いて自然の「ほうそく」を受け入れた潔さがありました。

楽しくてせつない科学の体験。

風船は子どもたちにそんなことまで教えてくれるおおきなおおきな存在です。

形あるものはいつかは壊れる。大切なものとのお別れもある。

小さな胸にとっては潰れてしまいそうな・・そんな彼を見ていた私の胸も締め付けられそうでした。

今も光景を思い出すだけで胸がキュンとして涙がにじみます。

でもしばらくすると、やっぱり風船で遊びたい彼ら。

それぞれ好きな色の丸い風船を膨らましてあげると、風船キャッチやバレーボールでおおはしゃぎでした。

バルーンは子どもたちの気持ちを惹きつける魔法のちからを持っています。