盲目の朗読家として度々紹介させていただいている川島昭恵さんが、第12回愛盲報恩会片岡好亀賞を受賞しました。
昭恵さんは、幼い頃に感染症が原因で視力を失ったアーティスト。
「見えないどころか、こころの目で周りを深く感じ見る、見るという次元を超えてすべてを洞察しているという感じ。
言葉の出ない子どもにも、ゆったりと話しかけながら何かしらの反応を待つ。空気の動きを感じとると、そうか、じゃ読むね。1ページごとに「めくるよ」と優しく声をかける。
昭恵さんは朗読する、というより、読みながら目の前の人と魂の交流をしているみたい」
と、
8/29/2017投稿 「美しい心」
6/5/2018投稿「美しい心2」
で小児病棟での活動の様子を紹介しています。
美しく透き通った声の源は、誰とでも1つになれる愛情と懐の深さだと。
受賞記念に、語りCD『新美南吉&宮澤賢治』(66分57秒 MONO))が、東京ヘレン・ケラー協会から7月20日にリリースされることになりました。
私は早速1枚申し込み、到着を楽しみにしているところです。
東京ヘレンケラー協会 http://www.thka.jp
その内容をこちらに紹介します。
📘新美南吉「手袋を買いに」:ある雪の日、子狐は人間の町に手袋を買いに出かけていきます。そこで出会ったものは…。
📗新美南吉「狐」:夜新しい下駄をおろすと狐につかれる。それを聞いた少年は、寝床でお母さんにたずねます。
📙宮澤賢治「虔十公園林(けんじゅうこうえんりん)」:まわりからばかにされていた少年が植えた杉林。20年後、杉林はどうなったでしょうか。
昭恵さんからのメッセージ
語りへの思いがめばえたのは、中学 2年の秋、学校の文化祭で声優北川智繪さんの語りを聞いたときでした。
言葉をとおして鮮やかなイメージが広がっていく。
まるで絵を見ているような、夢見る気分でした。「語りとは、語り手が心の中に絵をかく作業ににている」。のちに、北川さんの書かれた本の中にこのフレーズを見つけた時、ハッとし、やっぱりと思いました。私は、失明以来長いこと、大好きな絵をかくことを忘れていました。
今、スタイルこそちがえ、全く同じことをことばを用いてやっています。自分の心にえがきだしたイメージを、語りを聞いて下さる方の心へと投影して行くのです。
誰の心にも鈴がある。いのちをふきこまれたことばは、その鈴を振るわせるのでしょう。
ホッと安らぎを感じるとき、
思わずふきだすとき、
涙がこみあげてくるとき、
やさしい気持ちになれるとき、
そこには、きっとことばの力が働いているのだと思います。
語りを聞いて下さる方々の、胸のうちにある「夢の鈴」を私は振るわせたい。
そして、心の出会いの輪を広げていきたいと思っています。
推薦者の方々です。
本間昭雄(聖明福祉協会理事長)
田中徹二(日本点字図書館理事長)
高橋實(視覚障害者支援総合センター前理事長)
絵を描くのが好きだった昭恵さんは、ことばを通して心に描いたイメージを目の前の人の心に描いていきたいと。
詩人のような昭恵さん。
自身で小説や詩を作られたら、それはまたとても素敵なことだろうなあ、と密かに楽しみにしている私です。
✳ご注文は下記宛、郵便、FAX 03-3200-2582、Eメール yougu@thka.jpでお願いします。
送料別で定価2,600円(税込2,808円)
〒169-0072 新宿区大久保3-14-4 東京ヘレン・ケラー協会点字出版所
(03-3200-1310)