フランスのドキュメンタリー映画「ちいさな哲学者たち」のロケーションは、
パリ郊外の「哲学の時間」を取り入れている幼稚園。
園庭で元気いっぱい遊んだ後、部屋に入り先生がろうそくを灯すと
「哲学」の時間が始まります。
フランス語は全くわからないけれど、子どもたちの会話の中で、
la philosophie
の音を見つけ、
こんなに小さな子どもの口から「哲学」という単語が自然に出てくる場面でまず、
少なくともここでは子どもが未熟な人、として存在していないことに気づきます。
このドキュメンタリーでは、この園のあるクラスで「哲学の時間」が始まった頃から卒園間近の最終回までを追っています。
最初ははまだ皆ポカンとしていますが、回を重ねるごとに「考えること」が好きになっていく。「哲学」の時間が待ち遠しくなるほど。
ファシリテートしていた先生の出る幕も少しずつ減っていき、ほとんど子どもたちだけでの意見のやり取りになっていきました。
考える機会を作ることで子どもは真剣に物事に向き合い、突き詰めていく立派な哲学者になることを確信。
むしろ、子どもの純粋さ素直さから、私たち大人は学ぶべきことが多いと感じました。
もちろん、子どもは経験が少ないですが、少ないなりのピュアな感覚は、古ぼけた大人の感性に目の覚めるような示唆をくれるに違いありません。
先生:先生が質問するとみんなの中で何が起こってる?
子ども:脳みそ・・を使ってる
先生:それって?
子ども:考えている
先生:そして?
子ども:・・・口から物を出すようなジェスチャーをしながら言葉にできないでいる・・・
先生はすかさず、
先生:口から出す?
子ども:話す!
まず頭にイメージすることを言葉にする練習が、胸を打ちました。その後は、
愛について、自由について、結婚について、なんと離婚についてまで・・。
大人顔負けの意見を活発に交わします。
さすが、子どもたちは周りで起こっていること、大人の振る舞い、すべてを観察していろんなことを感じ、考えているんですね。
幼い子に哲学・・。
「哲学」という響きが子どもには硬すぎるのかもしれない。
「考える練習」
とでも名付けましょうか。
我が家でさっそく始めたい6歳と4歳の孫への「哲学の時間」に。