淀川キリスト教病院 (通称:淀キリ[大阪市東淀川区] )
副院長・小児科長の鍋谷まこと氏の著書
「ゆっくり育て子どもたち」
を夢中で読みました。
ページをめくるほどに
氏の大きな愛を感じ共感の連続です。
淀川キリスト教病院こどもホスピスは2012年に設立された
アジアで最初のこどもホスピスです。
日本の小児がんを含む難病の治療は世界でも最高レベル。
しかし緩和医療に関しては
欧米諸国からおおきく遅れをとっていました。
そんななか
全人医療を行う淀キリに白羽の矢がたち
まず淀川キリスト教病院にこどもホスピスが作られました。
それをきっかけに
大阪の鶴見こどもホスピスや東京のもみじの家
また、横浜こどもホスピスも来年開所の予定ですし
そのほか北海道や福岡などにも広がりつつあり
こどもホスピスの必要性は大きく取り上げられるようになり
拡大の動きは全国に広がっています。
淀キリで活動を始めたのは2015年3月18日。
説明に伺ってすぐに活動開始の日程が決まり
今では月に3度訪問しています。
(現在はコロナウイルス感染予防のために活動休止中)
淀キリのこどもホスピス病棟では
小児がんや難病のこどもたちが、
こどもを中心とした家族のサポートのもと
家庭的な環境で安心して医療を
受けることができるよう
総合的な小児緩和を行っています。
家族や大切な人と、楽しさと癒しを共有しながら
支援する体制をとっていて、そこにSHJが関わり
お手伝いをさせていただいています。
こどもホスピスのもう一つの役割として
医療短期入所(レスパイト)があります。
経管栄養や気管切開、人工呼吸器を使用中の子どもを含め
医療的ケアの必要な重症心身障がいの子どもが短期間過ごし、
集団生活の中で様々な活動に参加し、
家族はケアを一休みしたい時や
きょうだいの行事の時などに利用します。
また、淀キリは日本における病院ボランティアと
医療ソーシャルワーカーの発祥の地だということも
本書を読んで知りました。
そんな淀キリで小児科医として日々子どもとご家族に
寄り添う鍋谷医師が
大学院での研究の後
総合福祉通園センターに勤務されていた頃のエピソードとして
障がいのある子どものご両親から学んだことについて
綴った箇所があります。
抜粋させていただきます。
「我が子の成長がゆっくりで
望みを失いかけそうな状態にあっても
指や手がわずかに握れるようになったことを喜び
子どもの言葉にならない声を喜び
子どもの一瞬の笑顔を喜ばれます。
その笑顔と子どもへの眼差しの
なんと美しく、力強いことでしょう」
というくだりがあります。
そして
「このようなご両親たちの姿が
小児科医として未熟だった私を
ゆっくりと育ててくれた」と。
結局のところ
支援する側とされる側、
同じ人間がどちらの立場も行き来し
その境目はないのだと
SHJ活動を通して常々感じていることにつながっている、と
氏の経験に基づく生き方への共感となりました。
まさに、SHJが行なっている
障がいの重い子ども
在宅医療を受ける子どもへの
在宅訪問学習支援「学びサポート」をする際に
起こっていること
すなわち
支援員が学ぶのは本人からであり
ご家族からだということ。
病院も家庭も
支援という言葉を超えた学び合いの場なのだということが
はっきりと言えます。
「ゆっくり育て子どもたち」
鍋谷まこと 淀川キリスト教病院副院長・小児科部長 著
つまるところ、
人と人との間に分断も上下も
そして支援する側される側の線引きもない
フラットな関係で学び合うのだということを
再確認できる本です。
たくさんの方に読んでいただきたいです。
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