つれづれにっき〜スマイリングな日々〜

大地よ

アイヌの精神を問い続ける宇梶静江の世界

観たかった映画

大地よ」アイヌとして生きる

を観た。

副題は、

アイヌとして生き、

古布絵や詩の表現へ

アイヌの精神を問い続ける宇梶静江の世界

とある。

  古布絵=ぼろ布を使いアイヌの叙事詩を表現した絵。

アイヌ伝統刺繍の技法を学ぶ中で宇梶さんは

独自の古布絵を創り出した。

民族のアイデンティティ、共生への光を求めて

この作品を知るなり、観ようと決めていたところに、

スマイリングホスピタルジャパンのアーティストを通して知り合った

映画監督の金大偉さんから

ポレポレでやるよ〜

と案内をいただいて

あ、この映画、金さんが監督だったんだ!

と迂闊にも後でご本人から知らされた。

心浮き立ち

監督舞台挨拶の日に合わせて観に行った。

もともとポスターを見て、

観たい!

と感じたのは 

〜民族のアイデンティティ、共生への光を求めて〜

という趣旨を読んで。

古き良き文化というものが

蔑ろにされ徐々に失われていく寂しさを感じていたから。

金大偉・・・Musician, Artist, Movie director, painter 音楽、映像、美術などの世界を統合的に表現(Facebook より)

宇梶静江さんの顔に惹かれて

さらに惹きつけられたのは、

宇梶静江さんの風貌。

プロフィールを見ると1933年うまれ。

ということは今年90歳。

とてもそうは見えない。

背筋を伸ばし大海を背に

まっすぐと遠くを見つめる

シワのない凛とした素顔に

魅了されてしまったのだ。 

確固たるミッションに視線を定め

信念と決意を秘めたその眼差しに

釘付けになった。

平和への鍵

アイヌとして生を受けた、

作家であり

古布絵作家である宇梶静江さん。

アイヌ文化の伝承をライフワークとして

活動するその生き方が

幼い頃の貧しさや苦難を浄化するがごとく

強烈な説得力をもって伝わってくる。

アイヌ民族に対する差別を受け苦しんできたけれど、

この作品の中では

差別や社会の不条理をフィーチャーしNOと訴える

という切り口から離れ

それぞれの民族としてのアイデンティティに誇りを持ち

共生していくことが平和への鍵であるのではと、

強く優しく問いかける。

自然の前ではみんな小さな存在。

一人ひとり、

自然に感謝し畏敬の念を持ちながら生きようと。

鍵は一人ひとりの生き方にあるのだと。

心の一番澄んだところに

己の咲かせるべき花の種があるのだから

それを大事にしようよ、

そこに平和への道標があるんだよ、と

そのまっすぐな瞳は訴える。

民族の違いという壁を超えて

監督、金さんはこう語る。

戦いと分離の形ではなく、

民族の違いにおける境界や壁を超えることによって、

真の生きる姿や共存が誕生し、

切実な平和世界が訪れてくるのだろう、

と。

調和のとれた自然に導かれて、

失われゆく民族の良き意識やアイデンティティを取り戻すことが、

世界において、すべての民族の共同意識であるように思う、

とも。(ともに映画パンフレットより)

金さんも父親が満州族の中国人。

民族のアイデンティティという視点にたち、

宇梶さんの生き方に深く共感して

この作品を仕上げたのだろうと想像する。

自然に抱かれ非力な自分を愛おしく思う

神は森羅万象、万物に宿るというのがアイヌの考え方。

海の神、風の神、森の神、大地の神

という感覚が全ての人にあれば、

争いなどなくなる、

と宇梶さんは語る。

そうだ、本当にそう思う。

自然に抱かれているときの何とも言えない

無力さや

小ささを自覚するとき、

非力な自分を愛おしく大切に思える

そんな自分の素直さに満ち足りた気持ちになるのだ。

争いとは対極にある感覚の気がする。

宇梶静江さんの詩「大地よ」

宇梶静江さんの詩を一つ紹介したい。

2011年の東日本大震災の後に綴ったものだ。

大地よ 東日本大震災によせて

  大地よ

  重たかったか

  痛かったか

  あなたについて

  もっと深く気づいて

  敬って

  その重さや

  痛みを

  知る術を

  持つべきであった

  多くの民が

  あなたの

  重さや痛みとともに 波に消えて

  そして

  大地にかえっていった

  その痛みに

  今 私たち

  残された多くの民が

  しっかりと気づき

  畏敬の念をもって

  手をあわす

       宇梶静江

映画「大地よ」

好評につき、2週間の上映延長になった。

ポレポレ東中野にて5/19まで

番外編

余談だが、

宇梶静江さんは幼い頃から

針仕事をする母親を見て育った。

63歳になってから

自身も古布絵の制作に目覚め

90歳の現在

古布絵を通したアイヌ文化の継承に

心を注ぐ。

今年、私はその頃の宇梶さんの年齢。

最近始めたのは

身体が不自由な子どもの衣服の改良

私の母は仕立て屋だったから

針と糸と布は私にとっても日常だった。

同じく針と糸と布に囲まれて育った宇梶さんが

文化の伝承のために古布絵制作に没頭する姿を、

おこがましい限りだが

今の自分に重ねる。

「大地よ」を観て本当に良かった。

宇梶さんが背中を押してくれた。

この活動を続けていこうと改めて思う。

映画「大地よ」

東中野ポレポレ

金大偉Facebook

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