昨日は、教育の機会確保、通学の安全確保という健常児にはあたり前にある権利が、障がい児には保障されていないということを書きました(→医療的ケア児と特別支援学校)。
おのずと地域に溶け込み、地域で交流する機会も失われます。
東京都で平成19年に始まった副籍制度はまさに「地域とのつながり」を目的にインクルージョンを進めようというもの。
東京都教育委員会ホームページによると、
「副籍制度とは、都立特別支援学校の小・中学部に在籍する児童・生徒が、居住する地域の区市町村立小・中学校(地域指定校)に副次的な籍(副籍)をもち、直接的な交流や間接的な交流を通じて、居住する地域とのつながりの維持・継続を図る制度のこと」
とあります。
しかし、実際に交流が行われたのは全国の公立学校で、
小学校 16%
中学校 18%
高校 26% (文科省調べ2016年実績)
という数字を見て愕然としました。
その理由の大半は、
「近隣に交流できる特別支援学校がないから」
2017年10月30日 東京新聞朝刊より
さらに関連を調べようと都教委HPを見ると、交流事例紹介は平成27年3月発行まで。ガイドブックやリーフレットは26年3月が最新。都教委副籍制度充実検討委員会による「東京都における副籍制度の充実に向けて」は25年3月に中間まとめで止まっています。
昨日提案した、
「健常児の通う学校の3校に1校でもいい。専任の校長を置く特別支援学校を併設しては?」
というのはこの制度が機能していないから視点を変えて考えたもの。そもそも、いきなり交流というのも乱暴な話。普段からの関係性あってこその交流という観点からも副籍という発想を変え、1つの併設校に1つの籍を置く。煩雑な手続きも不要になるでしょう。
政府は20年パラリンピックに向けた行動計画で、
「障害者との交流や共同学習を各学校で推進する」
との目標を掲げていますが、その土壌すらないのが実態。
文科省の担当者は、
「行政の支援があれば、学校も継続的に取り組める。東京パラリンピックを最大の契機と捉え、交流を広めたい」
とのことだが、本気度、真剣さ、現実味が全く伝わらない。
いったい、その手立ては?
さらに付け加えたいことは、新聞に載っていた文科省調べの数値&交流が進まない理由が、普通校からの聞き取りにとどまっていること。特別支援学校の立場から是非調査してもらいたいと感じました。支援学校側が設ける副籍制度という角度から取材し、障がい児目線で記事を書いてもらいたいと。
「障がい児と触れ合うノウハウを持つ教員が在籍しているかどうかで実施に温度差がある」
との記述。非常に失礼な表現に感じるのは私だけでしょうか。