SHJのこと

医療でない立場で病棟に存在するということ

医療現場とは、普通に暮らしていたら

関わる機会のない、

敷板が高く、最も遠い場所かもしれません。

難病と闘いながら長期入院を強いられる子どもたちのいる

小児病棟に至ればなおのことです。

私たち、入院中の子どもたちと関わるNPOは、

医療者ではない立場で病棟に存在するわけですが、

だからこその意義と苦労があります。

医療行為や科学と全く関係ない、対極にあるような立場が病棟に入って行くことの意義とは・

●治療や痛いことを連想させない安心感

●憐れみや心配そうな顔ではなく陽気な笑顔の存在

●のびのびとした人間的な関わりあい、ふれあい

対極といってしまっては、医療者にもアーティストに対しても失礼でしょうか。

それにしても、

眉間にしわを寄せながら緊張の連続にいる医者や看護師たち。

みんな威厳があって1ミリのミスも許されないピンと張りつめたような知性の塊。

いっぽう、

笑顔をたたえ目尻にしわを寄せながらリズムやユーモアの連続にいるアーティストたち。

周りの感性をくすぐる創造力の塊。

その落差が時に滑稽でもあります。

アシスタントたちはきっと心の中でクスッと笑っているでしょう。

当たり前の存在である医療者。

かたや場違いで超個性的なアーティスト。

彼らはとりも直さず、

患者と医療との間にある緊張感を解きほぐす存在でもあります。

ハイセンスで豊かなユーモアが、

医者である前に、

患者である前に、

人間だよね~。

とアートを通して語ります。

キラッと光りながら、

時にふざけながら、

そして時におちょくりながら・・。

目的は「融合」。

少しずつ、じわりじわりと目的に向かっていることを実感するのは、

医療者たちが、

大道芸人に引っ張り込まれ、ボケ役という大役を仰せつかってまんざらでもなさそうなとき。

いつか子らに披露しようと隠し持っているバイオリンを、なぜかタイミングよくSHJの活動の時にプレイルームに持ってくるとき。

処置の時間が活動と重なると、子どもの生き生きとした表情を見て、参った! とばかりに終了時間を聞いて出直すとき。

笑っている子どもを見て顔のシワが眉間から目尻に移るとき。

ダイナミズムや感動をきっかけに生まれた共感が

「融合」をもたらし、

緊張感や孤独感、疎外感を吹き飛ばします。

1色で煮詰めるのではなく、

いろんな色を混ぜてかき回し溶かせば、

閉鎖空間において、インクルーシブな社会が作られます。

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