新しい年が明けました。
昨秋より、少しスローペースになっていますが
アート、子ども、医療を中心に綴ってまいります。
引き続き、お読みいただけたら嬉しいです。
年越しのテーマは病棟保育士
さて、年末から年を越して頭にあるのが
小児の入院生活のさらなる向上のためには
病棟保育士が潤沢に配置されるべきだ
ということです。
小児病棟の病床数はSHJが訪問してきた病院に限れば
だいたい30~40床。
そこに保育士が1~2名、病院によっては2名で交代制だったり。
病棟には18歳くらいまでの子どもが入院していますから
年齢の幅も広く、また、個別性も高いので
一斉に保育をする、というわけにはいきません。
ある病院ではプレイルームで活動中に
「すみません。ちょっと他用があるので席を外します。よろしくお願いします」
と言って子どもの元を離れ、忙しそうに廊下を走っていく、
という場面もありました。
SHJとしては信頼されているな、という嬉しさ反面、
小さな子どもから目を離していいのかな、
という不安もあったりしました。
病棟で子どもを支える職種
病棟での子どもの生活面や心理面を支える職種として
病棟保育士の他に
ホスピタルプレイスペシャリスト(HPS)や
子ども療養支援士、
チャイルドライフスペシャリスト(CLS)
などがあります。
ホスピタルプレイスペシャリスト
ホスピタルプレイスペシャリスト(2007年養成開始)の病棟での業務は、その名の通り、
✔︎遊びを通した子どもにやさしい環境作り
✔︎日常の遊びと治癒的な遊びを大切にしながら痛みや不安を感じる処置の時に気をそらす遊び(ディストラクション)
✔︎検査や手術に対する心の準備を木製キッドや写真のカードを使用し低年齢でもわかりやすく説明(プレイ・プレパレーション)
といったような
家族に対するサポートも含め、遊びを通して
子どもたちが安心して過ごせるようにしています。
チャイルドライフスペシャリスト、子ども療養支援士
いっぽう、
チャイルドライフスペシャリスト(1999年~)や
子ども療養支援士(2011年~)は、
✔︎環境や医療体験に適応し自信や自尊心を取り戻すための治癒的遊びの提供
✔︎遊びや季節行事の提供
など、また、遊びの他に、
✔︎検査や手術などの前に、医療者と連携しながらわかりやすく説明し心の準備をサポートするプリパレーション
✔︎検査中の精神的サポート
✔︎病名・病状告知における支援や告知前後のフォロー
✔︎きょうだいや親の支援
✔︎退院や復学に向けた支援
✔︎グリーフケア
など、多岐に渡ります。
CLSは2021年10月現在
36施設に50名が勤務しています。
子ども療養支援士は2018年累計19名が勤務しています。
病棟保育士
さて、病棟保育士とは、
保育士とはいえ対象は18歳くらいまでの年齢の子どもたちで、
遊びなどの関わりを通して入院生活を楽しいものにし、
安心して治療を受けられるようにすることが大きな役割で、医療保育士とも呼ばれます。
子ども支援・家族支援・医療従事者との連携を行いますが、
中心となるのが子どもの発達支援やストレスの軽減などの心のケアです。
病棟保育士の目的として
「子どもを医療の主体として捉え、
専門的な保育支援を通して、
本人と家族のQOLの向上を目指すこと」
とあります。
1994年度に全国の123施設で導入されていたのち、
2005年度調査によれば、
小児科のある全国の医療施設の約10%(300施設余り)に病棟保育士が配置されました。
数の上ではかなり増えた、といえますが
それでも全体の10%ということを考えると
今後さらに強く
病棟保育士の必要性を訴えていく必要がありそうです。
医療が子ども主体になるように・・・
子ども療養支援協会のHPによると
「『子ども療養支援士」を1病棟に1名配置、全国に計3,000名を配置することをめざし、子どもの人権に配慮した小児医療の実現に努めています」
とあります。
保育士の増加への取り組みも行われていることを望みます。
主にプレパレーションや検査等中の心理的サポートを行う「子ども療養支援士」やCLSなどと
スムーズな連携を取りながら子どもの生活や成長における心理的支えを中心に担う為にも、
病棟保育士の各病院への十分な配置が不可欠と考えるからです。
医療が子ども主体となり、子どもが闘病に前向きに、
そして病気であることをプラスに転化できるような土壌を
今以上にぜひ作っていって欲しいと思っています。
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