つれづれにっき〜スマイリングな日々〜

無言館、再び。

見えぬものを感じきこえぬ声に耳をすます

何度訪れただろう。

戦没画学生慰霊美術館「無言館」。

受付で受け取った案内にこうある。

  口をつぐめ、

  眸を開けよ

  見えぬものを見、

  きこえぬ声をきくために

と。

間口の小さな

しかし重厚な扉を開けると

奥行きのある十文字の空間が広がる。

その静謐さに身を委ねた瞬間、

自ずと

無言のうちに

見えぬものを感じ

きこえぬ声に耳をすます自分になる。

訪問の回を重ねるごとに

埋もれていた作品が見つかり

この無言館の壁に追加されていく。

今回も

作品の数がさらに増えたように感じた。

恋人や家族を描く作品が多い中

今回は風景画や静物画が目に止まった。

無言館設立への思い

無言館は

著作家であり美術評論家でもある

窪島誠一郎氏が

1997年に設立した。

なぜ無言館を開くことになったのか・・・

それを知りたくて調べていくとあるインタビュー記事に行きあたった。

戦没画学生の絵を一か所に集めたい――。

仕事で絵を扱う中、

戦没画学生たちの絵が、遺族とともに消えていくのを黙って見ていることはできない、と

その一念で遺族を訪ね歩いて作品を集めたのだと。

今も館主として戦没画学生の作品の収集・保存・展示・普及に

つとめ続けている。

致知出版社戦没画学生の遺作を集めた美術館「無言館」設立に懸けた思い

インタビューの中で

「戦争をろくに知らない世代の人間。

戦後の拝金主義にどっぷり浸かって、

金儲けに懸命になって生きてきた。

戦争や平和を語る資格なんてない」

と。

そんな彼がなぜ戦没画学生の絵を?

人は出会うものから学び成長し続ける。

自分について戦争や平和を語る資格なんてない

と話す彼に訪れた出会い、転機とは一言で言い表せるものではないだろう。

詩集「くちづける」に見る無言館

「無言館」には窪島誠一郎氏の著書が多く販売されている。

調べてみると著書はその数60冊以上。

父親が作家の水上勉氏であることもあり

「書くこと」が日常の中に自然とあったのかもしれない。

そんな中で気になったものがあり購入した。

詩集「くちづける」(2016年4月発行)

このなかの「沈黙」という詩に

無言館そのものを伝えるメッセージが込められていると感じた。

一部抜粋する。

  沈黙を

  恥ずべきではない

  沈黙は 真理の音楽だから

  怠惰な言葉よりも

  何倍も 耳すます者たちの

  心にするどい杭を打つ

あなたを知らない

窪島誠一郎氏が無言間開館の日に謳った詩は

私の心を強く打つもので

以前にブログで紹介させていただいたが

ここで再び全文を書いてみたい。

それは

戦争を知らず

戦後の拝金主義にどっぷり浸かって生きてきた自分に向けた反省文のようでもあり

人知れず犠牲になったおびただしい命を

なかったことにしてはいけない、

語り継いでいくことが絶対に必要だという叫びでもあるような気がする。

館主ご挨拶

「あなたを知らない」

  遠い見知らぬ異国で死んだ画学生よ

  私はあなたを知らない

  知っているのはあなたが遺したたった一枚の絵だ

  あなたの絵は朱い血の色にそまっているが

  それは人の身体を流れる血ではなく

  あなたが別れた祖国のあのふるさとの夕灼け色

  あなたの胸をそめている父や母の愛の色だ

  どうか恨まないでほしい

  どうか咽かないでほしい

  愚かな私たちがあなたがあれほど私たちに告げたかった言葉に

  今ようやく五十年も経ってたどりついたことを

  どうか許してほしい

  五十年を生きた私たちのだれもが

  これまで一度として

  あなたの絵のせつない叫びに耳を傾けなかったことを

  遠い見知らぬ異国で死んだ画学生よ

  私はあなたを知らない

  知っているのはあなたが遺したたった一枚の絵だ

  その絵に刻まれたかけがえのないあなたの生命の時間だけだ

  窪島誠一郎

  一九九七・五・二(「無言館」開館の日に)

無言館HPより

- 無言館 - 無言館を訪れたのは2回目。 無言館は信州上田市にある戦没画学生慰霊美術館で 太平洋戦争などで志半ばで戦死した画学生の遺作、遺品を...

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