医療的ケア児、全国に２万人
医療技術の飛躍的な進歩により
新生児の救命が進んだことで、
命をつなぐための医療的ケアが必要な子ども（医療的ケア児）が
過去10年で倍増し、現在全国で推計2万人いるとされています。
医療的ケア児とは
たんの吸引、
腹部からチューブで胃に栄養を送る胃ろうや
人工呼吸器などのケアが必要な子どもで
受け入れ態勢の整う保育所などの施設が近くにないために
一日を自宅で過ごす子どもも多いのです。
医療的ケア児支援法
昨年、医療的ケア児をもっと手厚く支える必要があることから、
医療的ケア児支援法*が施行されました。
「医療的ケア児支援法は、医療的ケア児を子育てする家族の負担を軽減し、医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職を防止する目的で作られました。
法律の成立により、障害や医療的ケアの有無にかかわらず、安心して子どもを産み育てることができる社会を目指します」厚生労働省HPより
この法律の成立は認定NPO法人フローレンスと
同団体が事務局を務める全国医療的ケア児者支援協議会
が長い年月をかけて成立させたことは、
当事者や民間団体が立ち上がったことで法律を作ることができるエピソードとして
あまりにも有名です。
この感動のストーリーは
代表駒崎弘樹氏著
に綴られています。
これにより、医療的ケア児への支援が
「努力義務」から「責務」に変わり、
そのための予算配分も検討されることになりました。
「医療的ケア児支援法」を機に
今年に入り
新年度から支援を強化するするための診療報酬の見直しと
加算の範囲も広げられる方向となったと新聞で知りました。
また、相談対応や関係機関との連絡調整を担う支援センターは
すでに富山、奈良、岐阜、香川、高知の５県に置いて設置されており、
他の34都道府県でも開設を決めている、というのは3日ほど前の報道で知りました。
これまで相談機関が見つからなかったり
窓口でたらい回しにされたりということが多かった中、
専門家がワンストップで対応できるメリットはとても大きく、安心につながります。
先述の医療的ケア児支援法成立が大きな流れを作ったことは間違いありません。
誰一人取り残さない社会へ
医療的ケア児、全国に２万人。
決して多くはありません。
少数であるために
本人も家族も疎外感や不自由、困難を強いられ、
行政の対応が後手後手に回っていました。
多数派だろうが、少数派だろうが、命の重さは平等です。
そして忘れてならないのは子どもの成長は待った無し、ということ。
その子にとって必要な行政や病院、学校などとの連携を継続させ、
切れ目ない充実した支援を実現させてほしい。
法整備が叶ったとはいえ、実施までには準備に時間がかかる場合もあるでしょう。
しかし、見切り発車が功を奏することは実は多いもの。
とにかく動きながら改善、充実させていくことが
誰一人取り残さない社会への実現として必須と考えます。
当事者家族とともに成長するイメージで！
共に生きる
このセンター、各都道府県に設置、とのことですが
毎日のケアに追われ、なかなか出向くことが難しかったり
アクセスの難しい場合もあるでしょう。
とにかくいつでもすぐに相談を受け付ける態勢を整えることと合わせ、
相談を受けたら迅速に家庭を訪問し、各事案に的確に対応できるような
人材養成や十分なマンパワー確保が必須でしょう。
また、利用者同士が情報交換できるような機能も持たせられたら
家庭の心理的な負担も軽減されるかもしれません。
様々な取り組みを通して
医療的ケア児の存在そのものが社会に溶け込み
共に生きる社会になっていくことを願います。
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