つれづれにっき〜スマイリングな日々〜

入院中の思索 〜単純化したら台無し!〜

PC投げ出し読書三昧

4日間の入院、

講演会で使うスライド作りにとりかかろうとか

ちょっとためてしまった事務仕事をしようとか

たっぷり時間があると

たかを括っていた私ですが、

痛みはさておき

ベッドサイドテーブルがない

旧式の鉄柵ベッドは自動リクライニングでなく

ベッドを降りて手動で行う

という怪我人にはとても厳しい環境で

PCを開こうという意欲などあっさりと

消え失せました。

しかし、それならと、

ゴロゴロしながらの読書を決め込むことで

最近読書量が減っていた私に

書物を通した思索の時間ができました。

選書ラインアップ

読みかけだった

塩野七生著「ルネサンスとは何であったのか」

向田邦子著「あ・うん」(ともに新潮社)

そして今話題の

「現代思想入門」千葉雅也著 講談社。

📘 📙 📕

「あ・うん」は

映画を観たことがあるのですが

今回改めて読んでみることにしました。

対話とナレーションからなるシナリオ形式の構成で

情景を浮かべ、登場人物に共感したり

危うさを孕みながらもバランスを保つ

心と心の空模様をハラハラと想像しながら

夢中になって読みました。

「ルネサンスとは~~」

は4月27日に綴った通り。

狭い病室で出会った壮大な西洋の歴史 ルネサンスとはなんであったのか 怪我をして動けないなか、 ひょんなことからこの本を手に取る機会に恵まれ 夢中で読んだ...

世の中には、単純化したら台無しになってしまうリアリティが!

極め付けは「現代思想入門」

すっかりハマってしまい、

今では常にリビングテーブルの上に

お守りのように置かれています。

📘 📙 📕

現代思想とは、1960~1990年代

主にフランスで展開された哲学。

ちょうど私が生まれた年から第二子を設けるまでの

私にとっての人生の一度目の激動期

というか成長期⁈です。

入門書とはいえ

「ちょっと難しそう・・」

という印象を持ちながら開くと、

冒頭に

世の中には、単純化したら台無しになってしまうリアリティがあり、

それを尊重する必要がある

と語られていて、

一瞬で読み進めることを決め

入院グッズの仲間に入れた次第。

現代思想=脱・構造主義

現代思想が展開される前の

「構造(パターン)主義」

から脱しようというのが

「脱・構造主義」でこれが現代思想と呼ばれるもの。

私が育った頃は自由で

多様性を重んじる明るく伸びやかな時代だったんだなあと

おのずと今の社会の窮屈さと比べます。

「単純化したら台無しになる」

多様化、複雑化した社会を

合理的にまとめるために必要なのが秩序。

そのために便利なのがルールや枠組み、規制などですが、

枠から外れたところや混沌にこそ

うま味だったり個性だったり

芸術だったりがあるんじゃないでしょうか。

氏の言う単純化とは

まさしくルールや規制で秩序を保ち

枠組みを作って白か黒かを明確にすること。

「単純化したら台無しになる」

だから、グレーの部分も大事にしようよ、

という考え方が当たり前になれば

世の中がもっと面白みがあって

文化や芸術の立場がもっともっと大腕を振るう、

美しくて愉快で知的で・・・

思いやり深く、違いを認め合う、

多様性の豊かさが尊重される世界になるだろうな~と思います。

「単純化したら台無しになる」

うーん、痺れる!

言い得て妙。

二項対立の危うさ

「脱・構造主義」

とは、二項対立からの脱却。

物事を二項対立=2つの概念の対立

を持って良し悪しを決めようとすること(構造主義)をやめよう、

というもの。

例えば

学校教育において

文系 理系

運動が得意 苦手

成績が良い 悪い

みたいな対立する項に分けてしまうと

枠にはまらない生徒の個性や

意外な発想や独創性は排除されてしまいます。

ひいては先ほど書いた面白みや思いやりのある社会からは

遠ざかってしまいそうです。

単純なスケールは便利だけど

グレーゾーンに意識を向けること

考えること、違いと向き合うこと

他人の立場に立ってみること

を遠ざける危険性もあるなとも感じるのです。

個別性や違いと向き合い拮抗する中で生きていくものなのだ

というスタンスで誰もがいられたらいいなと

思います。

人生が変わる、ワクワクする哲学。

こんにち、多様性が叫ばれながらも、

社会全体が秩序を強化し枠にはめて単純化し

まとめてしまおうという方向に向かっているように思います。

いろんなところで窮屈さを感じます。

このような社会に生きる私たちが

もっと生きやすくなるために

「現代思想入門」

は書かれました。

単純化せず多様性を守るために、と著者。

カバーに書かれた

「人生が変わる哲学。」

という言葉に納得する一冊です。

私にとっては

著者の読者への愛情がひしひしと伝わってくる

「怪我の痛み吹っ飛ぶワクワクする哲学」

でした。

千葉雅也 note

講談社BOOK俱楽部「現代思想入門」

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