つれづれにっき〜スマイリングな日々〜

他人の靴を履いてみたら- ミクロからマクロへ –

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー(2019年6月21日刊行 新潮社)

ブレイディみかこさんの話題の本です。

東京新聞にもコラムを連載していて

指摘は鋭いながら庶民的な視点で共感を誘う

ブレイディさんの文章は前からとても好きでした。

そしてこの本、「ぼくイエ」という通称で親しまれるほどの人気です。

イギリス ブラントンに住みながら

保育士としてライターとして活躍するブレイディさんは

生活者としての視点で主にイギリスの格差社会に切り込みます。

イエローでありホワイトでもあり、人種問題や貧富の差、ジェンダーなどをめぐり

悩みながら成長するブルーでいて正義感の強い実の息子「ぼく」。

「ぼく」と一緒に親子で学校や進学を軸に悩み成長するストーリーに、

格差社会を問題提起しつつ人情の要素がたっぷりと散りばめられ

ほっこりと読み進めながら共感を誘う物語です。

新潮社のサイトから受賞の数々をそのまま抜粋すると

✔︎読者が選ぶビジネス書グランプリ2020 リベラルアーツ部門

✔︎埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2019 第1位 

✔︎第13回 神奈川学校図書館員大賞(KO本大賞) 

✔︎キノベス!2020 第1位 

✔︎We Love Books 中高生におすすめする司書のイチオシ本2019年版 第1位

 ✔︎第7回 ブクログ大賞 エッセイ・ノンフィクション部門

 ✔︎Yahoo!ニュース 本屋大賞2019 ノンフィクション本大賞 

✔︎第73回 毎日出版文化賞特別賞 

✔︎第2回 八重洲本大賞

さらに

推薦図書に指定している中学、高校もあるほど。

「ぼく」が小学校から中学校に上がる時期の数年間について書かれたものだから

小学校高学年にもその年齢なりの読み方ができるかもしれないと感じます。

身の回りの問題を他人事として捉えず

できることから解決していくことが一人一人の使命であることを

若い人たちに伝えることができる最高の教材だと思います。

📘 📙 📗

ブレイディさんが先日対談番組で話していたことで強く印象に残ったことがあります。

ミクロからマクロへ視点を持っていくことで

政治に興味がない人たちにも

関心を持ってもらえると考えている

なるほど、

庶民の立場で日々直面する

 なんか変だぞ、

 なんか損してない?

 この格差は何?

 なんとういう不公平な世の中だ!

といった釈然としない思いを

日常の具体的な事象を切り口に

その原因を制度だったり

国だったりといった

大きな運営システムに問題点を炙ることに繋がり、

ひいては、より民主的な世の中にするためには

一人ひとりの意識がまず大切だよ、

と伝えているのだと思います。

「他人の靴を履いてみたら、きっと今とは違う世界が見えてくる!」

というのはブレディさんの座右の銘(かどうかはわかりませんが)

として対談中にもよく出てくるフレーズです。

なるほど、長く英語圏に暮らすブレイディさんだからこそ

他人の靴を履く=人の立場に立ってみる

put yourself in their (one’s) shoes

という英語の慣用句が彼女の考え方にピタリと合うのでしょう。

2005年の映画で

“In Her Shoes”

というのがありました。

対照的な姉妹二人の人生を描いたベストセラーの映画化でした。

ここでもこの慣用句は使われていましたね。

英語圏では一般的な言い回しです。

「他人の靴を履いてみたら、きっと今とは違う世界が見えてくる!」

とは、

全ては人ごとではないよ

他人の靴を履いて(その人の立場に立って)みて!

きっと

そうだったのか!

という共感(エンパシー=相手の立場に立ち理解しようとすること)

が生まれ

これまでとは違う世界が見えてきて

大事なことにはっと気づかされ

人生の課題だったり使命だったりに出会えるよ、

とブレイディさんは伝えているのだと思います。

ミクロ(他人の靴をまず履いてみる)

がマクロ(今とは違う世界=世の中全体の仕組みや課題)

に向かうことで

自分が対峙するべき課題に向き合うことができる

というメッセージだと読むことができます。

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」

一押しの一冊です!

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